山田 あゆみ, 寺本 篤司, 桐山 諭和, 塚本 徹哉, 今泉 和良, 星 雅人, 齋藤 邦明, 藤田 広志
日本医用画像工学会大会予稿集 38回 176-180 2019年7月
病理診断において,肺癌の組織型を正確に把握することは,治療方針を決定するために重要である.病理医は画像のみでなく,患者の臨床的背景を理解して診断を行なっている.そこで本研究では,液状細胞診(LBC)画像と患者臨床情報を用いた肺癌組織型分類手法を開発し,基礎評価を行った.はじめに,深層畳み込みニューラルネットワークを用いて,LBC画像から肺癌組織型に関する画像特徴量を抽出した.次に,電子カルテより患者臨床情報(喫煙情報等)を収集し,主成分分析により次元圧縮を行った.得られた画像特徴量とその画像に対応する患者臨床情報の主成分を識別器に入力し,3種類の肺癌組織型の分類結果を得た.149症例の臨床データを用いて,3-fold交差検証にて評価を行ったところ,LBC画像単体での分類精度は、82.9%であった.画像特徴に喫煙情報・腫瘍マーカー値を加えて,SVMで識別を行ったところ,それぞれ総合識別率は向上した.これらの結果から,提案手法の有用性が示唆された.(著者抄録)