加藤 庸子, 片田 和廣, 小倉 祐子, 佐野 公俊, 早川 基治, 神野 哲夫
脳神経外科ジャーナル = Japanese journal of neurosurgery 9(7) 491-496 2000年7月20日
1989年にヘリカルCTが登場して以来, ヘリカルCTの臨床応用はその画像診断のうえで多大な功績をもたらしたといっても過言ではない.これにより, 短時間で良質な三次元画像が得られるようになり, 破裂, 未破裂動脈瘤の検出率も高まってきた.特に3D-CT像が脳血管撮影に勝る点として3D-CT像では, 1)動脈瘤の大きさ, 方向, ネックの形状を三次元的に理解できる, 2)周辺の血管や骨構造との関係が三次元的に把握できる, 3D-CT endoscopy像とmulti planner reconstruction (MPR)像では, 1)動脈瘤ネック径の計測が可能, 2)動脈瘤の内面からの形状と動脈瘤内への流入, 流出血管口の描出, 3)瘤内および血管内腔の石灰化の描出, 4)瘤内血栓(特に血栓化, 巨大動脈瘤)の描出が可能, があげられてきた.また, 近年, さらにhalf-second, submillimeter, real time multirow helical CTの出現によりCT透視下の精検を含め, さらに短時間で検査が可能な精度をあげた第二世代の新しいヘリカルCTの臨床応用が拡大されつつある.今回は, これらも含め, 従来から積み上げられてきたヘリカルCTの脳動脈瘤診断能の現況について述べる.