深見 直彦, 日下 守, 森川 高光, 石瀬 仁司, 内藤 和彦, 桑原 勝孝, 佐々木 ひと美, 樋口 徹, 石川 清仁, 白木 良一, 星長 清隆
腎移植・血管外科 15(1) 4-9 2003年12月
標記7症例について臨床的検討を行い,長期透析患者に対する腎移植の問題点について考察した.男性6例,女性1例,移植時平均51.4歳,透析期間は平均22.7年であった.基礎疾患として全例が高血圧を有しており,5例がHCV抗体陽性であった.術後合併症は,肝機能障害4例,サイトメガロウイルス感染5例,細菌感染症6例,そのうち2例が敗血症を併発,拒絶反応は1例のみ認め,肝不全と敗血症が原因で2例が死亡した.他の5例は移植後4ヵ月〜8年1ヵ月経過した現在も生着中で,7例の平均最低クレアチニン値は1.2mg/dlであった.長期透析患者の腎移植では,重大な合併症がなく周術期の管理が十分であれば良好な腎機能を得られるが,いったん合併症を生じると致命的になるため注意が必要と考えられた