Kanada Y, Sakurai H, Kaga J
The Journal of Tokyo Academy of Health Sciences 4(4) 201-208 2002年3月 査読有り
今回,学生の実習内容を詳しく把握するため,評価表の自由記載内容を分析し,総合評定との関係を検討した。対象は,当校理学療法科にて実施した3年次の臨床実習で平成9年度から平成12年までの計124名であった。本校の実習評価表は各種評価表と総合評価に分けられ,各種評価表は各項目により導き出される評点とそれぞれのコメントが記載される。評点は,A,B,C,Dの4段階で総合的に決定される。検討方法は,総合評価の三項目(改善された点,改善されなかった点,将来性)について自由記載してある内容を,態度面で,(1)基本的態度,(2)コミュニケーション,(3)積極性,(4)学習態度,知識面で(5)業務,(6)知識,(7)文章力,技術面で,(8)検査測定,(9)患者把握,(10)治療に分類した。今回,評点,評定だけでなく自由記載内容を分析することで,指導者の実習生評価をよ.り詳細に捉えることができ,実習施設や実習指導者の評価の特徴を理解することができた。1)自由記載内容全般は,(9)患者把握に関してが最も多く,また将来性すなわち適性に関しては態度面の内容が多かった。2)評定でみると,改善されなかった点においてA評定群に全般的に記載が少なく,特に態度面でC評定群に記載が多かった。3)実習時期についてみると,1期では態度面でA,B,C評定群間で差がみられ,B,C評定群は1期目の実習目標である(8)検査測定の問題を残したものとみられた。2期ではA評定群において,技術面の改善が重視され,態度,学力でA,B,C評定群間の差がみられた。3期ではA評定群において,態度,知識面に問題は残らなかったがC評定群においては問題が残ったものと思われた。