寺西 利生, 大塚 圭, 村岡 慶裕, 才藤 栄一, 伊藤 慎英, 金田 嘉清, 近藤 和泉, 園田 茂
総合リハビリテーション 37(10) 939-944 2009年10月 査読有り
トレッドミルでの使用を主たる用途とする3次元歩行分析システム(KinemaTracer)について,臨床使用の前提条件となる精度の検討を行った.方法は,臨床歩行分析懇談会主催のシステム検討会で用いられた方法に準じて,平地およびトレッドミル条件で,計測空間内を剛体のオブジェクトを持って移動し,距離(真値898mm)および角度(真値90度)を測定した.結果は,トレッドミル条件の距離計測で上下方向907.8±1.8mm,進行方向902.7±1.9mm,左右方向896.9±3.4mmで,角度計測では90.7±0.7度であった.KinemaTracerは高額なリアルタイム計測機器に比べ計測精度は劣るものの,トレッドミル歩行分析に使用する場合,原則的に多数歩データの平均値を用いる計測であり,数学的な収束によって実質的な精度の向上が期待できる.このため臨床使用には十分耐えられると考えられた.(著者抄録)