縄田 淳, 佐久間 聖仁, 出町 順, 鈴木 潤, 及川 美奈子, 杉村 宏一郎, 多田 智洋, 佐治 賢哉, 福井 重文, 白土 邦男
Therapeutic Research 27(6) 1014-1016 2006年6月
40歳代.10年前に当院泌尿器科で精巣腫瘍の手術を受け,術後定期通院していた.今回,CT検査で右鎖骨上リンパ節の腫大を認められ,生検により再発転移と診断された.経過中,発熱と左側胸部痛が出現し,入院となった.入院時検査で肺動脈内と下肢深部静脈に血栓を認め,ただちにヘパリンの持続投与を開始した.第6病日の検査で肺動脈内の血栓が減少していたためワルファリンに切り替えた.第19病日の検査で肺動脈内に新たな血栓を認め,ヘパリンの投与を再開した.第26病日,両下肢に血栓性静脈炎を認め,ヘパリンの増量と抗生剤投与を行った.症状軽快後,ワルファリンに切り替えたところ2日後に血栓性静脈炎の再発とD-dimerの上昇を認め,ヘパリンを再開した.第67病日に発熱と右側胸部痛が出現し,胸部X線で肺梗塞を認めた.肺梗塞に対して下大静脈フィルターの留置を行った後,ヘパリンを中止したところ翌日D-dimerが再度上昇し,ヘパリンの中止は断念した.患者は精巣腫瘍に対する化学療法のため現在も入院中である