花村 美穂, 園田 茂, 坂本 利恵, 長 由希子, 平山 良子, 才藤 栄一
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 43(9) 614-619 2006年9月18日
外傷性脳損傷による高次脳機能障害患者109名の帰結と入院中の評価との関係を検討した.評価は,入退院時FIM,FAM障害適応項目を用いた.帰結は5段階に分類し,5:就労・就学5名,4:在宅自立29名,3:施設訓練21名,2:在宅で要介護15名,1:転院39名であった.FIM運動合計は入院時52点から退院時63点へ,FIM認知合計は19点から22点へ,FAM障害適応は2.1から3.3へと改善した.重回帰分析による帰結予測は,入院時FIM運動項目の寄与率が42.1%と高かった.CARTによる帰結のパーティションの結果と実際の帰結との一致率は,退院時データを用いた予測で55.0%で,FIM運動合計73点以上かつFAM障害適応4点以上であれば就労または在宅自立となる可能性が高かった.帰結には,FIM運動項目が大きく関わるとともに,FIM認知項目,FAM障害適応(メタ認知)の関与が明らかとなった.