三並 伸二, 小西 英喜, 吉松 和彦, 松島 隆, 塚田 克也, 関谷 隆夫, 可世木 久幸, 石原 楷輔, 大島 正行, 島田 洋一, 土居 大佑, 太田 雄治郎, 米山 剛一, 荒木 勤
日本産科婦人科学会神奈川地方部会会誌, 37(2) 101-105, Jan, 2001 Peer-reviewed
Paclitaxel-Carboplatin療法(TJ療法)を受けている卵巣癌患者10例を対象に,末梢神経検査装置Neurometerを用いて電流知覚閾値(CPT)を計測した.CPTの計測は全例で可能であった.経日的計測により,タキソール使用後5日目にCPTは最高値を示し,その後低下した.TJ療法の回数を重ねた場合,タキソール使用前のCPT値と各コース終了後の値は3コース目までは低下し,3コース目から4コース目に上昇した.タキソール使用前のCPT値を,プラチナ製剤を含む前治療のあった症例と前治療なしの症例で比較すると,前治療のあった症例で250Hz(Aδ線維に対応)と2000Hz(Aβ線維に対応)における値の低下が大きかった.糖尿病合併例では非合併例に比べ250Hzと2000HzにおけるCPT値の上昇が大きかった.これらの結果から,CPTはタキソールによる末梢神経障害の症状を客観的に表わすことが示唆された