研究者業績

浦久保 秀俊

ウラクボ ヒデトシ  (Hidetoshi Urakubo)

基本情報

所属
藤田医科大学 医学部・医用データ科学講座 准教授
学位
博士(工学)(2003年3月 東京大学)

研究者番号
40512140
J-GLOBAL ID
201101036451836391
researchmap会員ID
B000004615

外部リンク

脳は、記憶により駆動されるシステムです。私たちは、過去の記憶・経験に基づいて思考し、より良い未来を目指して行動します。人工ニューラルネットワークがトレーニングに基づいて神経結合を形成して機能を決定するように、記憶(経験)がその人のありようを決定するのです。

 私は、記憶がどのように入力されるかについて、分子神経科学の実験的知見をコンピュータシミュレーションにより統合して動作を検証する研究を行ってきました。記憶は「シナプス」と呼ばれる素子を単位として生じます。ただし、シナプスへの記憶の入力方法は極めて多様で、ある時は各々独立に、時には共同して生じますし、発達・情動・精神疾患により大きく影響を受けます。

 私は、多様な記憶入力について数学的ルールを抽出し、脳がどのように記憶・学習を形づくるかについて明らかにします。物質としての脳から機能的実体が生じる初めの一歩に注目して研究を進める予定です。詳しくは「研究紹介」をご覧ください。


委員歴

 1

受賞

 1

論文

 25
  • Takayuki Onai, Noritaka Adachi, Hidetoshi Urakubo, Fumiaki Sugahara, Toshihiro Aramaki, Mami Matsumoto, Nobuhiko Ohno
    108338-108338 2023年11月  査読有り
  • Sergey Mursalimov, Mami Matsumoto, Hidetoshi Urakubo, Elena Deineko, Nobuhiko Ohno
    mcad107 2023年7月25日  査読有り
  • Sehyung Lee, Hideaki Kume, Hidetoshi Urakubo, Haruo Kasai, Shin Ishii
    Neural networks 152 57-69 2022年8月  査読有り
  • Hidetoshi Urakubo, Sho Yagishita, Haruo Kasai, Yoshiyuki Kubota, Shin Ishii
    PLOS Computational Biology 17(9) e1009364-e1009364 2021年9月30日  査読有り筆頭著者責任著者
  • Laxmi Kumar Parajuli, Hidetoshi Urakubo, Ai Takahashi-Nakazato, Roberto Ogelman, Hirohide Iwasaki, Masato Koike, Hyung-Bae Kwon, Shin Ishii, Won Chan Oh, Yugo Fukazawa, Shigeo Okabe
    eNeuro 2020年10月27日  査読有り
    Precise information on synapse organization in a dendrite is crucial to understanding the mechanisms underlying voltage integration and the variability in the strength of synaptic inputs across dendrites of different complex morphologies. Here, we used focused ion beam/scanning electron microscope (FIB/SEM) to image the dendritic spines of mice in the hippocampal CA1 region, CA3 region, somatosensory cortex, striatum, and cerebellum (CB). Our results show that the spine geometry and dimensions differ across neuronal cell types. Despite this difference, dendritic spines were organized in an orchestrated manner such that the postsynaptic density (PSD) area per unit length of dendrite scaled positively with the dendritic diameter in CA1 proximal stratum radiatum (PSR), cortex and CB. The ratio of the PSD area to neck length was kept relatively uniform across dendrites of different diameters in CA1 PSR. Computer simulation suggests that a similar level of synaptic strength across different dendrites in CA1 PSR enables the effective transfer of synaptic inputs from the dendrites towards soma. Excitatory postsynaptic potentials (EPSPs), evoked at single spines by glutamate uncaging and recorded at the soma, show that the neck length is more influential than head width in regulating the EPSP magnitude at the soma. Our study describes thorough morphological features and the organizational principles of dendritic spines in different brain regions.Significance statement Little is known about the characteristic anatomical features underlying the organization of spine synapses in a dendrite. This study used volume electron microscopy to make an extensive characterization of dendritic spine synapses in multiple regions of the mouse brain to uncover the principles underlying their placement along a dendritic shaft. By using a combination of approaches such as two-photon imaging, glutamate uncaging, electrophysiology, and computer simulation, we reveal the functional importance of regulated spine placement along a dendritic trunk. Our research presents a crucial step in understanding the synaptic computational principle in dendrites by highlighting the generalizable features of dendritic spine organization in a neuron.

MISC

 26
  • 浦久保秀俊, 渡我部昭哉, 中江健, 石井信, 銅谷賢治
    解剖学雑誌 97(2) 41-44 2022年9月  招待有り筆頭著者
    コネクトームとは,ニューロン間または脳領野間の全ての結合を網羅的に調べ上げたものである.本稿では,電子顕微鏡画像によるミクロコネクトーム,神経トレーサーと光学顕微鏡画像によるメゾコネクトーム,MRIによるマクロコネクトームの各レベルでの研究の進展と,それらを可能にする情報処理技術を概観する.また日本の脳科学のフラグシッププロジェクトである「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」(革新脳)の取り組みについても紹介する.(著者抄録)
  • 浦久保秀俊
    Clinical neuroscience 40(4) 534-536 2022年4月  招待有り筆頭著者責任著者
  • 浦久保 秀俊, 窪田 芳之
    顕微鏡 55(3) 120-124 2020年12月  査読有り招待有り筆頭著者責任著者
  • 中江健, 浦久保秀俊, 東広志, 田中康裕, 島崎秀昭, 尾藤晴彦, 石井信
    日本神経回路学会誌 26(3) 99-103 2019年9月  
  • 浦久保 秀俊
    日本神経回路学会誌 22(3) 133-144 2015年9月  招待有り
    リンク先もご参照ください!<br /> http://researchmap.jp/joyaho9a7-51216/#_51216
  • 中江 健, 松田 道行, 石井 信, 本田 直樹, 浦久保 秀俊, 山尾 将隆, 近藤 洋平, 塚田 祐基, 小山 雅典, 村上 陽平, 松田 哲也
    日本神経回路学会誌 22(2) 78-81 2015年  
  • 林 優一郎, 浦久保 秀俊, 石井 信
    電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 113(500) 31-36 2014年3月17日  
    運動錯視とは静止しているにも関わらず動いて見える錯視である.ヒトの視覚システムの動作原理を明らかにするためにも運動錯視を引き起こすメカニズムの解明は重要な課題である.運動錯視の1つに周辺ドリフト錯視と呼ばれる錯視現象が存在する.周辺ドリフト錯視を引き起こす刺激画像として,Faubert and Herbert刺激画像(FH刺激画像)が知られている.FH刺激画像(前刺激)を数秒間見続けた後に単一の輝度画像(後刺激)が表示された瞬間,残像にともなう錯覚回転(残像回転)が知覚される.本研究では周辺ドリフト錯視における残像回転を解明するため,網膜機能を再現した単純なモデルの提案を行う.モデルの出力は時間経過にしたがって変化し、後刺激提示後に出力輝度が交差する点(焦点)が作られる.焦点を結ぶ時刻は前刺激の強度によって異なり,時間的なズレが生じる.計算核実験により焦点時刻のズレが,残像回転を作り出すことが判明した.また,視覚心理実験により残像回転現象の定量化を行い,モデルの出力結果との比較を行った.その結果,モデルはいくつかの残像回転現象を説明できることが判明した.
  • 中江 健, 本田 直樹, 浦久保 秀俊, 山尾 将隆, 近藤 洋平, 塚田 祐基, 石井 信
    日本神経回路学会誌 21(2) 101-104 2014年  
  • 中江 健, 本田 直樹, 浦久保 秀俊, 山尾 将隆, 塚田 祐基, 石井 信
    日本神経回路学会誌 = The Brain & neural networks 20(2) 84-87 2013年6月5日  
  • 浦久保 秀俊, 黒田 真也
    シミュレーション辞典 2012年1月  査読有り招待有り
  • Hidetoshi Urakubo, Shinya Kuroda
    NEUROSCIENCE RESEARCH 71 E325-E325 2011年  
  • Minoru Honda, Hidetoshi Urakubo, Shinya Kuroda
    NEUROSCIENCE RESEARCH 68 E437-E437 2010年  
  • Minoru Honda, Hidetoshi Urakubo, Shinya Kuroda
    NEUROSCIENCE RESEARCH 65 S65-S65 2009年  
  • 黒田 真也, 浦久保 秀俊
    生体の科学 特集 現代医学・生物学の仮説・学説 59(5) 416-417 2008年  招待有り
  • 篠崎 隆志, 加藤 英之, 浦久保 秀俊, 岡田 真人
    電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング 106(279) 1-6 2006年10月4日  
    synfire chainとはニューロンの同期的な発火の集合がニューロン群の間を連鎖的に伝搬する現象である.多くの先行研究がsynfire chainを発火を伝達する固定したケーブルとして議論しており,これをフレキシブルにコントロールする研究は殆どなされていない.本研究はsynfire chainを外部からの信号によってフレキシブルに制御しうるかを検討するために,Hodgkin-Huxleyモデルを用いた数値解析を行った.シミュレーションの結果,synfire chainのパルスパケット入力前約6msでの短時間の抑制入力はsynfire chainの伝播を最も強く促進した.一方でパルスパケット入力後1msの抑制入力はsynfire chainの伝播を最も強く減衰させた.そしてこれらの中間のタイミングの抑制入力によって,伝播の度合を連続的にコントロールしうることが示された.以上よりsynfire chainは外部からの抑制入力によって制御することが可能であり,よりフレキシブルで機能的な働きを行いうる可能性が示唆された.
  • 紫雲 大輔, 浦久保 秀俊, 相原 威, 塚田 稔
    電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング 105(657) 27-32 2006年3月15日  
    海馬において、スパイクタイミング依存性可塑性(STDP: Spike Timing Dependent Plasticity)が注目され、シナプス後ニューロンの樹状突起を逆伝播する活動電位とシナプス前ニューロンからのシナプス入力のタイミングに依存して誘起されるLTP/LTDの報告がなされている。本研究はNEURONシミュレータを用いて,海馬CA1野の錐体細胞の生理実験データに即したモデルシミュレーションを行うことにより、STDP誘起と密接に関係するデンドライト上の情報処理に関して(1)細胞体近位へのシナプス入力による逆伝播活動電位のゲーティング作用、及び(2)抑制性細胞によるシャンティングの影響、について考察を行った。
  • 浦久保 秀俊, 黒田 真也, 相原 威
    シミュレーション 25(1) 4-12 2006年3月  招待有り
    リンク先もご参照ください!<br /> http://researchmap.jp/joyaho9a7-51216/#_51216
  • Takeshi Aihara, Yuki Uchikune, Daisuke Shiun, Minoru Tsukada, Norihiro Yoshida, Hidetoshi Urakubo
    NEUROSCIENCE RESEARCH 55 S52-S52 2006年  
  • 相原 威, 西山 誠, 浦久保 秀俊
    日本神経回路学会誌 12(2) 94-99 2005年6月  招待有り
    近年,スパイクタイミング依存性可塑性(STDP:Spike Timing Dependent Plasticity)が注目され,シナプス後細胞を逆伝播する活動電位とシナプス前細胞からのシナプス入力のタイミングに依存して誘起されるLTP/LTDの報告がなされている.本解説はNEURONシミュレータを用いて,海馬CA1野ニューロンの生理実験データに即したモデルシミュレーションを行うことにより,STDP誘起時におけるデンドライト上の情報処理に関して(1)シナプス増強の場所依存性,(2)細胞近傍の入力による逆伝播活動電位のゲーティング作用,及び(3) STDPへの抑制性細胞による影響,について考察を行った結果を報告する.
  • 相原 威, 浦久保 秀俊, 西山 誠
    電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング 104(759) 43-48 2005年3月22日  
    近年, スパイクタイミング依存性可塑性(STDP : Spike Timing Dependent Plasticity)が注目され, シナプス後細胞を逆伝播する活動電位とシナプス前細胞からのシナプス入力のタイミングに依存して誘起されるLTP/LTDの報告がなされている。本研究はNEURONシミュレーターを用いて、海馬CA1野ニューロンの生理実験データに即したモデルシミュレーションを行うことにより、STDP誘起時におけるデンドライト上の情報処理に関して(1)シナプス増強の場所依存性、(2)細胞近傍の入力による逆伝播活動電位のゲーティング作用、及び(3)STDPへの抑制性細胞による影響、について考察を行った。
  • 浦久保 秀俊, 黒田 真也
    BME : Bio Medical Engineering 18(2) 12-18 2004年4月  招待有り
  • 浦久保 秀俊, 渡辺 正峰, 近藤 駿介
    電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 87(2) 695-704 2004年2月  査読有り
    spike-timing dependent synaptic plasticity (STDP)は,その特性から単独ニューロンの発火関数と深く相互作用しながら神経回路を発展させると予想される.そこで,本研究では単一コンパートメントのHodgkin-Huxley(HH)モデルニューロンと,leaky integrate-and-fire (LIF)モデルニューロンについて,発火関数とSTDPの相互作用かつくるシナプス結合の強度分布を調べた.一定間隔のシナプス入力ペアによって達成されるシナプス結合強度は,各モデルニューロンの発火関数に依存して異なる発展をみせる.更に複雑なパケット入力に対しても,同様に発火関数を反映して,異なるタイプの情報処理を行う結合分布を形成することが分かる.このことは,現実の生体内においてもニューロン発火関数の違いに依存して同じ時同窓をもつSTDPが異なる神経回路を形成する可能性を示す.
  • 浦久保 秀俊
    日本神経回路学会誌 10(4) 223-224 2003年12月  招待有り
  • 浦久保 秀俊, 渡辺 正峰
    電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング 101(735) 227-233 2002年3月11日  
    近年,シナプス結合したプレニューロン,およびポストニューロンの発火タイミングに依存した,時間的に非対称なシナプス可塑性(STDP)が報告され、実験、理論両面から注目を集めている。本研究では海馬CA1錐体細胞シナプス結合強度変化をもたらす根本原因である細胞内Ca2+濃度の変化に着目し,モデル細胞を構築してSTDP則を再構築するとともに高頻度発火状態における変化則を予測した.その結果,高頻度ペアリング状態では発火タイミングに関わらずシナプス結合強度が強化されることがわかった.
  • 浦久保 秀俊, 渡辺 正峰
    電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング 101(238) 33-39 2001年7月20日  
    本研究ではラット第5層IBニューロンを模したマルチコンパートメントHH型モデルニューロンにおける, 入力頻度の変化に応じた発火特性の変化を検証する。モデルニューロンにランダムスパイク入力を与え, 応答発火特性を逆相関中にみると, その時間窓の長さはスパイク入力頻度の増加にともない短くなる。このことは, 低頻度入力下ではニューロンはその発火時刻にノイズの影響を受けやすいintegratorとしての機能をもち, 高頻度入力下ではノイズに対して頑健に発火するcoincidence detertorとしての機能をもつことを示唆する。これを検証するため, 高頻度スパイク入力, および低頻度スパイク入力下において同S/N比で信号スパイク入力したときのニューロンの発火特性を調べた。その結果, 高頻度スパイク入力時の方が、より時間的に正確な発火で情報をコードすることが判った。
  • 浦久保 秀俊, 渡辺 正峰
    電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング 100(191) 37-42 2000年7月11日  
    近年発達してきたニューロンスパイク時系列の相関解析ヒストグラムには、観測部位の機能と同様にネットワーク自身が持つ基礎的な幾何構造が現れる。そこで、そのネットワーク自身が持つ基礎的な時空間構造を調べるため、ニューロンが一定の確率でスパイクを通す単なるノードであると仮定する、確率発火ニューロンの方法を考えた。本研究では第一に、この確率発火ニューロンに方法をランダム結合ネットワークにおける時間構造の解析に適用する。これにより単独ニューロンの特性からは説明が困難であった、皮質ニューロンの発火間隔の高分散に一つの解釈を与える。さらに、空間方向への結合特性を考慮することで、脳の活動の最小単位である、ローカル結合によるニューロン間の時空間相互作用について解析する。以上の二つにより、皮質における情報処理の可能性について考慮する。

担当経験のある科目(授業)

 6

共同研究・競争的資金等の研究課題

 9