花形 哲夫, 田村 文誉, 菊谷 武, 片桐 陽香, 関野 愉, 久野 彰子, 古西 清司, 高橋 幸裕, 矢島 彩子, 吉田 光由, 鷲見 浩平, 三塚 憲二
老年歯科医学 = Japanese journal of gerodontology 23(4) 424-434 2009年3月31日
本調査は, 介護老人福祉施設における歯科衛生士による口腔ケア・マネジメントの有効性を明らかにすることを目的とした。<BR>対象は, 山梨県にある介護老人福祉施設に入居中の要介護高齢者142名で, A施設は82名 (平均年齢85.9±7.5歳), B施設は60名 (平均年齢85.6±8.3歳) である。調査期間は8ヵ月で, 初回, 4ヵ月後, 8ヵ月後において口腔衛生状態の視診と口腔内細菌数の測定を行った。A施設では, 歯科衛生士による口腔ケアの直接的介入を対象者20名に対して行い, 他の対象者に対しては口腔ケアに関する情報提供と相談のみ行った。B施設では, 歯科衛生士が口腔ケア・マネジメントの手法を用い, すべての対象者に対して個々のスクリーニング, アセスメントに応じたケアプランをたて, 施設職員とともに口腔ケアの介入を行った。また今回の口腔ケア介入終了時に各施設職員へ意識調査のアンケートを行い, 施設間の比較を行った。<BR>その結果, A施設では, 施設全体において口腔内総細菌数には変化はなかった。B施設では, 介入期間中に有意に減少を示した (p<0.05) 。職員の意識調査の結果では, A施設よりもB施設のほうが, 口腔ケアに自分でも積極的に参加したいという意識や, 今回の事業があまり負担ではなかったという意識がうかがわれた。<BR>本研究の結果より, 口腔ケア・マネジメントは, 施設の状況, 歯科衛生士の介入方法などを含めて全員に対してプランをたてていくことで効果があることが示され, 本介入調査により口腔ケア・マネジメントの重要性が確認された。