山本 由子
老年看護学 18(2) 85-94 2014年3月 査読有り
目的:本研究は高齢者におけるlife reviewの概念分析を行い,看護実践のうえでの有用性を検討することを目的とした.方法:データの収集方法はPubMed, CINAHL, PsycINFO, SocINDEX,医学中央雑誌,国立情報学研究所論文情報ナビゲーターのデータベースを使用し,検索用語は"life review" "elderly" "aged"とした. 1990〜2012年の28文献を対象にRodgersの概念分析のアプローチを参考にして行った.結果:高齢者におけるlife reviewの属性は【想起を繰り返す】【人生を振り返り統合する】【想起した思いを表現する】が抽出された.先行要件では【高齢期の特徴と身体的要因】【社会的交流の減少】【精神的・認知的機能の低下】【インタビュー手法の柔軟性】と,帰結として【老いや死に向かう段階の受容】【他者との相互理解の促進】【他世代への伝承】【自分らしさに気づく】が抽出された.結論:高齢者におけるlife reviewは,統合と自己意識という心理的効果,および他者との相互理解を促し,情報提供と必要な援助につながる有用な概念と考える.