片岡 康, 播谷 亮, 森 昌昭, 木嶋 真人, 杉本 千尋, 中澤 宗生, 山本 孝史
日本獣医学雑誌 53(6) 1043-1049 1991年12月15日
S. suis type 2のType Strain, 病豚由来株2株, 健康豚由来株2株を用いて, 5系統のマウスの感受性を調べた. その結果, C57BL/6, ICRおよびddYマウスはBALB/c およびSSマウスよりも S. suis type 2に対し低感受性であった. S. suis type 2の Type Strainと病豚由来株の2株は, 10^8 CFUの菌量を接種したときに, 接種マウスに敗血症, 髄膜炎を引き起こし60〜100%のマウスが死亡した. 一方, 健康豚由来の2株を接種した場合には, わずかに臨床症状を示したのみで死亡するマウスはみられなかった. 死亡あるいは神経症状を示したマウスでは, 化膿性脳脊髄膜炎, 心筋炎, 眼球炎, 中耳炎および内耳炎が観察され, これらの病変部において免疫学的染色により S. suis type 2の菌抗原が確認された. また, マウスに対する有毒株と無毒株をブタに接種した場合には, マウスと同様の結果が得られた. 以上のように, BALB/cおよびSSマウスは S. suis type 2の実験感染モデルとして有用であることが判明し, S. suis type 2には有毒株と無毒株とが存在することが明らかとなった.