松沼 光泰
教育心理学研究 56(4) 548-559 2008年12月
正確な英文読解や英作文には,andが同じ文法的資格の語句を結ぶ等位接続詞である(以下andの本質)ことを知り,文中のandが何と何を同じ文法的資格で結んでいるかを意識することが不可欠となる。本研究では,高校生を対象として,andの本質を問う独自の評価問題を作成し,学習者のandの知識が不十分であることを明らかにすると伴に,学習者にandの本質を理解させる教授方法を考案しこの効果を検討した。プリテストの結果,学習者は,andの日本語訳は知っているが,andの本質を理解していないことが明らかになった。本研究では,この不十分な知識を修正するために,ル・バー研究や学習方略研究の理論を援用し,「(1)学習者の知識では説明のつかない事例を用いてandの本質を教授する」,「(2)等位接続詞という名称とandの本質を関連づけて教授する」,「(3)英文読解や英作文の際に,アンダーラインの使用を促す」という3つの教授方針を採用した授業を実施した。その結果,介入授業後,学習者の成績は上昇し,介入授業の効果が確認された。また,介入授業後,学習者はandを重要な単語であると認識するようになり,英文法の学習意欲が高まり,andに対する自己効力感が高まった。