澁谷 智子
『社会福祉学』 54(4) 70-81 2014年2月 査読有り
一般に,子どもは保護されケアされる対象と考えられているが,家族の状況によっては子どもが大人並みのケア役割を果たすことがあり,こうした子どもたちはヤングケアラーと呼ばれている.本稿では,医療福祉専門職がヤングケアラーをどう認識しているか,こうした子どもがどれほどの頻度でみられるのかを知るために,東京都医療社会事業協会の全会員に質問紙調査を実施した.回答者402人のうち,35.3%は子どもが家族のケアをしていると感じた経験をもち,親の病気や入院,ひとり親家庭であることなどをヤングケアリングの理由として挙げた.全体的に,ケアを担う子どもに対する回答者の関心は高かった.しかし,そうした子への支援方法は確立しておらず,個々の医療福祉専門職が現場で試行錯誤していることも浮き彫りとなった.