単著
発達心理学研究 17(3) 252-262 2006年 査読有り
日本では,今後,「専門性」を有する職業への就職を希望する学生の割合の増加が見込まれる。このような状況をふまえ,研究1では,学生における職業への志向を,「専門性」を特徴づける諸概念に基づき測定する尺度の作成を試みた。まず,社会学のプロフェッション研究の知見に基づき,「専門性」を特徴づける5つの概念(「利他主義」「自律性」「知識・技術の習得と発展」「資格等による権威づけ」「仕事仲間との連携」)を想定した。次に,大学2年生207名を対象とした質問紙調査を行い,因子分析の結果,5つの概念それぞれへの志向を測定する「職業専門性志向尺度」が完成した。研究2では,医師を志望する学生に焦点をあて,「職業専門性志向」のなかで,彼らの「職業決定」に影響を与えるものの探索を行った。先行研究の知見から,「人間関係」と関連の強い志向が影響を与えることが予想された。医学部進学予定の大学2年生96名を対象とした質問紙調査を行い,重回帰分析の結果,「人間関係」と関連の強い「仕事仲間との連携志向」のみならず,「人間関係」と関連の弱い「知識・技術の習得と発展志向」も「職業決定」に影響を与えることが示された。