山本 侃利, 藤田 大輔, Rahman Rashedur, 八木 直美, 林 圭吾, 圓尾 明宏, 村津 裕嗣, 小橋 昌司
日本医用画像工学会大会予稿集 40回 203-207 2021年10月
骨粗鬆症による高齢者脆弱性骨盤骨折は,外傷に因らず,自覚症状が顕著でなく,CT画像上でその検出が容易ではないため,発見後の治療が遅れ,転位が進行し,機能的予後回復が得られない場合がある.そこで,医師の診断能向上のため,CT画像から骨盤脆弱性骨折を自動的に検出する医師の診断支援システムが求められている.従来手法では,単純X線画像やCT画像による2次元画像解析に基づくため,3次元的に分布する微小な脆弱性骨折の検出が困難であった.そこで我々は,新しい手法として,3次元CT画像を用いて,骨表から骨内部にかけて3次元的に骨折有無を探索するボーリング調査法を模した自動骨盤骨折検出法(BSFD法;boring survey based fracture detection)を提案した.本研究では,BSFD法における特徴量抽出法について検討する.BSFD法では,3次元CT画像から骨表同値面を求め,同値面上の各点にCT値で構成される3次元特徴ベクトルを割り当て,学習済みの3次元畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルにより,各点において骨折確率を求める.各点でアノテーションされた骨折領域からの3次元Chamfer距離から求められた骨折確率を用いて,CNNを学習する.ここで,3次元特徴ベクトルに関して,領域範囲の拡大を比較検討して,検出性能を評価する.提案手法を110人の被験者のデータで検証した結果,学習データではAUC0.90,評価データではAUC0.84を確認した.(著者抄録)