高島 直也, 藤田 大輔, 佐貫 毅, 木下 芳一, 小橋 昌司
日本医用画像工学会大会予稿集 43回 102-103 2024年8月
慢性便秘症は世界人口の15%に影響を与える慢性疾患であり,生活の質を著しく低下させている.便秘は多様な症状や病態を示し,その原因に応じた治療が必要である.適切な治療法の選択には,腹部単純X線画像中のガスや便の量と位置の定量化が重要である.本研究では,便秘の画像診断支援法として,U-Netを用いたガスと便領域の自動抽出法を提案している.本稿では,CT画像から生成された疑似X線画像を用いた事前学習法を提案し,その有効性を検証する.実験では,U-Netの初期ネットワーク重みにランダム,ImageNetでの事前学習,疑似X線画像を用いた大腸領域抽出での事前学習を95例の被験者に交差検証により適用し,DICE係数がそれぞれ0.520,0.676,0656となり,事前学習の有効性が確認できた.また,疑似X線画像を用いた事前学習はImageNetと同等であり,今後の精度向上には他領域の抽出問題での事前学習,疑似X線画像生成法についての検討が必要である.(著者抄録)