渡邊 里香, 撫養 真紀子, 中西 永子, 芳賀 邦子, 小野 博史, 粟村 健司, 真鍋 雅史, 新居 学, 河野 孝典, 坂下 玲子
Phenomena in Nursing 7(1) R20-R29 2024年1月 査読有り
【目的】看護小規模多機能型居宅介護(以下,看多機)は,訪問看護・介護,通所,宿泊サービスを臨機応変に組み合わせ,医療ニーズにも対応するという多様な機能をもつため,既存の看護提供施設とは異なる能力が求められると考えられる。看多機でのより質の高い看護を展開できるような行動指標の開発を目指し,本研究では,研究者らが先行研究にて明らかにした看多機看護師のコンピテンシーについて,定量的な内容妥当性の検討を行うことを目的とした。【方法】2020年9月時点の全看多機で勤務している看護師に対し,自記式質問紙調査を実施した。質問内容は看多機看護師のコンピテンシー(8カテゴリー,48サブカテゴリー)についての重要性であり,記述統計を行った。【結果】国内全看多機の看護師498人へ調査票を配布し217人から回答を得,回収率は36.5%であった。48サブカテゴリーのうち,ほぼすべての項目において9割以上の人が「とても重要」「重要」と回答し4点満点中,平均値3.4点以上でったため,重要であるという評価であった。特に,【その人や家族の強みを引き出し生活に取り入れる】【個々に合わせ臨機応変にケアを創造する】【命をまもる】【最期まで「生きる」を支える】【その人を地域で支えるチームをつくる】は,複数の項目において,平均値3.8点以上と高い点数であった。【結論】先行研究で抽出し専門家により精錬された8カテゴリー,48サブカテゴリーからなる看多機看護師のコンピテンシーについて定量的な内容妥当性が確認された。療養者を取り巻く家族や地域のあり方が多様化する中で,最期まで住み慣れた場所で暮らしていくためには,看護師が中核となり療養生活を支える役割があることが確認された。(著者抄録)