北山久恵
現代監査 2016(26) 43-52 2016年3月
<p></p><p>平成26年2月18日に,監査基準が改訂され,これまで公認会計士が監査業務を提供できていなかった,特定の利用者の財務情報に対するニーズを満たすように策定された特別目的の財務諸表や,財務諸表の一部を構成する個別の財務表又は財務諸表項目等に対して,一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠した監査業務の提供が可能となり,あわせて,従来の適正性に関する意見に加え,準拠性に関する意見も認められることなり,監査業務の可能性は大きく広がったといわれている。まず,準拠性に関する意見と適正性に関する意見の異同点について考察し,次に,日本公認会計士協会から公表された「監基報800」,「監基報805」,「監基報800及び805に係るQ&A」に挙げられている想定事例を紹介し,特別目的の監査,準拠性の監査の留意事項を整理する。特別目的の監査,準拠性の監査について再考することにより,公認会計士の監査実務における影響と課題について考察する。</p>