栗原 淳, 松本 隆太郎, 植松 友彦
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 2015年3月2日 一般社団法人電子情報通信学会
本稿ではまずShamirの手法を具体例として取り上げ,代表的な線形秘密分散法である(k,n)しきい値法を紹介する.続いて,(k,n)しきい値法の拡張である(k,l,n)ランプ型しきい値法を,山本とBlakley-Meadowsの手法を例として取り上げて解説する.そして,(k,l,n)ランプ型しきい値法の構成を線形符号C_1とその部分符号C_2を用いて一般化することで,線形秘密分散法の線形符号による表現法を与える.C_1とC_2を適切に選ぶことで,全ての線形秘密分散法をこの手法で表現できる.具体例として,Shamirの(k,n)しきい値法と,山本とBlakley-Meadowsの(k,l,n)ランプ型しきい値法を線形符号によって表現する.さらに,各シェアが有限体の1要素で表される線形秘密分散法において,盗聴されたシェアから漏洩する秘密メッセージの情報量の最大値や,秘密メッセージの部分的な暴露も許さない強安全性が,C_1とC_2の相対符号パラメータ「相対一般化Hamming重み」(Relative generalized Hamming weight, RGHW)によって表現されることを具体例を交えて解説する.