大村 佳代子, 伊藤 美樹子, 今福 渓子, 江口 依里, 九津見 雅美, 井上 洋士, 山崎 喜比古
日本エイズ学会誌 14(3) 153-158 2012年8月
薬害HIV患者の疾患管理行動に及ぼす告知年齢の影響について、薬害HIV患者652名を対象に自記式質問紙を郵送、有効回答229名について解析した。<16歳を小児告知群、≧16歳を成人告知群として、疾患管理行動得点を従属変数、告知年齢や当時の説明内容、最近5年間の知識獲得機会を独立変数として重回帰分析を行った。その結果、疾患管理行動得点は小児告知群で有意に高かった。告知年齢や当時の説明内容ではなく、最近5年間の知識獲得機会が多いことが有意に影響していたが、最近5年間の知識獲得機会には小児告知群と成人告知群で有意差はなかった。以上より、告知当時の状況に関わらず、知識や情報を得る機会の増加によって疾患管理行動の向上が示唆され、今後は疾患管理行動得点の低かった成人告知群でより多くの知識獲得機会が必要と考えられた。