原田裕也, 柿部剛史, 岸肇
日本接着学会誌 51(3) 74-79 2017年3月1日 査読有り責任著者
<p>自然エネルギーを安定に供給するため,蓄電システム(二次電池)の高性能化が重要視されている。特に性能の向上と共に安全性の向上や小型化の観点から固体電解質が注目されている。しかし,電解質の固体化は運動性の低下を意味し,固体でありながら高イオン伝導性を保持した電解質の設計が重要である。我々はマトリクスとしてナノレベルで相分離構造を形成するブロック共重合体を用い,イオン源として構造デザイン可能なイオン液体を用いることで,目的の相にイオンを高密度に選択配置させた固体高分子電解質を試作した。本研究では,固体高分子電解質のマトリクスとして30nm程度のラメラ構造を形成するp(MMA-bnBA-b-MMA)を用い,添加するイオン源としてイミダゾリウム型イオン液体を用いた。イオン液体の構造とマトリクスポリマーの親和性を調整することでイオンを選択的に配置させ,高イオン伝導体設計の指針を得た。</p>