大野かおり, 坂下玲子, 小枝美由紀, 高見美保, 小野博史
兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 24 27-41 2017年3月 査読有り筆頭著者
目的 超高齢社会の到来に伴って、疾患や加齢等により安定した経口摂取が困難な患者が多くなり、食支援を必要とする高齢者は急増しているが、在宅ケアの要である訪問看護師が主体的に取り組む食支援に関する研究は少なく、ほとんどが事例報告である。そこで本研究では在宅での生活支援の中で、訪問看護師がどのような食支援を行っているのか、その実際を明らかにするために調査を行った。方法 食を支援するための具体的な看護実践を明らかにすることを目指しているため、調査対象は食への支援を積極的に展開している訪問看護ステーションに勤務している訪問看護師とした。この訪問看護師に対して、グループインタビューを行った。インタビューデータより食支援の内容を読み取り、類似性に従って分類した。結果および考察 5名の訪問看護師からデータが得られた。生活支援の中での食支援として、食支援を積極的に行っている訪問看護師は「その人らしく生きる食支援」を行っていた。訪問看護師が行う食支援は【食に対する看護師の思い】を根底におきつつ、療養者と家族の意思を尊重することを基盤にしてケアを行っていた。そして、在宅ケアの特徴を踏まえて【高度なアセスメント】【食に対する全人的なケア】【包括的な食支援のための多職種連携】【連続的な評価】という取り組みを展開していた。(著者抄録)