畑 豊, 滝口 孝司, 上浦 尚武, 大和 一晴
日本ファジィ学会誌 5(6) 1312-1322 1993年 査読有り
本論文では, ファジィコンピュータの基礎研究としてプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)に注目し, ファジィ論理関数を実現するファジィ PLA の提案を行う.ファジィ論理関数は, ファジィ AND, OR, NOT, 変数によって構成されるファジィ論理式で表現可能な関数であり, 現在, その簡単化法や代数的性質の解明等種々の研究がなされている.本論文では P 形論理関数, C形論理関数に代表される, 工学上重要な意味を持つ特別なクラスのファジィ論理関数を考え, これらをファジィ PLA で実現するための回路設計法について述べる.まず, 2値の PLA として標準的な AND-OR 型の PLA をファジィ論理に適用した AND-OR ファジィ PLA を提案する.そして任意の多出力 n 変数ファジィ論理関数が3^n+n-1の列数で実現できることを示す.次に, PLA の列数は回路コストへ直接影響するため, この最大列数を最小化することを考える.そこで, AND-OR 型のファジィ PLA と OR-AND 型のファジィ PLA を相互接続し, 更に出力デコーダを付加した AND-OR/OR-AND ファジィ PLA の提案を行う.そして, この PLA は2^<n+1>の列数で任意の多出力ファジィ論理関数が実現できることを示す.このように AND-OR/OR-AND ファジィ PLA は AND-OR 型のファジィ PLA に対して列数の上限が小さくなること, また, 変数の数が増すほど有効となることを明らかにする.