【概要】
教育では、管理栄養士や栄養教諭を養成する課程で,栄養教育論の講義と実習,栄養教諭科目を担当しています。研究では,胎児(妊娠)期から高齢期のヒトを対象として,栄養生理学や疫学の手法を用いて実験的・観察的研究を行い,得られた知見を食育研究や実践活動に活かしたり,積極的に情報発信しています。新しい研究領域である,時間栄養学研究(健康に最適な食事時刻やタイミングの探求)も行っています。日本ではこれまで,個人や自ら参集した人を対象に食事指導や栄養教育を行うやり方が中心でした。しかし,この方法は,健康への関心層の知識レベルを高める一方で無関心層が反応せず「健康格差」を拡大してしまうという側面があります。そこで,健康への無関心層を巻き込む栄養教育が必要だと考え,職場(社員食堂や自販機)をフィールドとした介入研究も始めています。
【研究内容】
■ 栄養生理学研究:エネルギー代謝測定,心拍変動を指標とした自律神経の測定,胃電図や体温の測定などを,生体電気信号解析の手法を用いて行っています。また,これらの結果と時計遺伝子,生活習慣病関連遺伝子,生体バイオマーカー,食欲スコア,食事データ等と組み合わせることで,食品の機能性成分や食事の種類(和食)や食べ方(咀嚼),そして食事に付随する五感や情報が,私たちの健康や食事の満足度にどのような影響を及ぼすかを探求しています。さらに「いつ食べるとよいか」という時間栄養学研究も行っており,食育や生活習慣病予防プログラム作成や実践に活かしています。
■ 食育研究:小児,スポーツをしている生徒や学生,シフトワーカー,妊婦,高齢者の方などへの教材や食育プログラムを作成・実施し,その効果の検証を行っています。開発途上国の食育活動への助言や支援も行っています。
◆研究内容に関するキーワード◆
女性の栄養問題(やせ・隠れ肥満・冷え・ダイエット),胎児期栄養(DOHaD),時間栄養学(朝型-夜型、時計遺伝子),国際栄養,エネルギー代謝(呼気ガス解析),朝食と胃運動(胃電図・周波数解析),心拍変動解析,ヒト試験,食欲評価(日本語版VAS),肥満関連遺伝子多型,シフトワーカーやアスリートに向けた栄養教材開発など。