Impact Factorが科学を歪めている現状を憂慮し、San Francisco DORA宣言に署名した。署名後は、執筆依頼がない限り細胞生物学会の学会誌であるCell Struct. Funct.にのみ論文を投稿している (日本細胞生物学会論文賞を3回受賞)。「個々の科学者の貢献を査定する、すなわち雇用、昇進や助成決定をおこなう際に、個々の研究論文の質をはかる代替方法として、インパクトファターのような雑誌ベースの数量的指標を用いないこと」を期待し、個々の論文の評価指数であるh-indexと i10-indexを記載する(2024年8月21日現在の数値)。
Citations 23,326
h-index 39
i10-index 51
【追記】
これまでは細胞生物学会の学会誌であるCell Struct. Funct.にのみ論文を発表していたのであるが、科学研究費補助金の審査に採択されにくくなったため、2025年の論文はやむなく米国生化学分子生物学会誌JBCに発表した。本当はCell Struct. Funct.に投稿したいのであるが、たいへん残念な世の中になったと嘆く今日この頃である。
【追記2】
Impact Factorという量的な測定基準のみに基づいて科研費や人事の審査を行い、それ以外の基準(個々の論文の評価)は客観的に証明できないからといって無視するというのは、まさに「マクナマラの誤謬」そのものである。
マクナマラ規律を文字通り適用しすぎると、以下のようになる。第一段階は、簡単に測定できるものだけを測定して満足する。第二段階は、簡単に測定できないもの、定量的価値を与えられないものを軽視するようになる。第三段階は、簡単に測定できないものは重要でないと仮定してしまうようになる。第四段階は、簡単に測定できないものは存在しないと考えるようになってしまう。これは自殺行為である(Yankelovich, Daniel (1971). “Interpreting the New Life Styles”. Sales Management, the Marketing Magazine)。ベトナム戦争において国防長官マクナマラは敵戦死者数という測定可能な数値だけを重視し、ベトナム国民の愛国心やアメリカ人の反戦感情という客観的に測定できない要素を無視した結果、アメリカ合衆国は無残な敗北を喫した。同じ過ちを繰り返さないことを切に願うものである。