本田 順子
看護研究 53(6) 458-465 2020年10月
<文献概要>新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)拡大防止のため,対面会議の中止,移動の自粛が推奨され,在宅勤務に切り替わるなど,わが国でもリモートワークが急速に進んだ。これまでにも,企業では,国内外に点在する支社をつなぐリモート会議や,フレキシブルな働き方の1つとして在宅勤務が取り入れられるなど,オンラインでの仕事も珍しくはなかったかもしれない。しかし,医療や教育の現場では,対面が当たり前であり,オンラインで会議や講義をすることはそれほど浸透していなかった。今回のCOVID-19の影響で,大学では,オンラインで講義や演習,実習をすることが求められたため,大学教員は,単にオンラインで相手と会話をするという単純なものだけではなく,オンライン上での画面共有やグループワークなどの機能を自由自在に扱うスキルまで獲得せねばならなかった。一気にこのような状況への適応を求められ,多くの教員はいまだ試行錯誤の中,日々過ごしていることであろう。しかし,この経験が新しい生活様式に適応した「新しい看護学教育および研究」に活きることは間違いない。本稿では,筆者がこれまでに経験してきたオンラインを活用した教育や研究について,特に,国際共同研究に焦点を当てて紹介し,今後のオンラインを活用した研究の可能性について述べる。