美濃伸之, 斎藤元也, 小川茂男
日本草地学会誌 43(4) 452-459 1998年 査読有り筆頭著者
本研究では,草地の利用形態,および牧草の収穫時期を衛星データを利用して捉えることを試みた。北海道の根釧地域を対象に,1990〜1994年と1982〜1986年の両時期について解析を行った結果,近年では,放牧地が減少し,採草地が増加しつつあり,採草地全般において収穫がより早期に行われるようになった状況が捉えられた。放牧利用から採草利用への草地利用形態の変化,および収穫時期がより早期に推移していることは,牧草生産がより集約的に行われるようになってきたことを示すものである。これらの結果は近年の対象地域における草地利用状況の変化を衛星データが捉えられたものと考えられる。草地を含む農業分野では,衛星リモートセンシングに即時性を要求する場合が多いが,過去の衛星データの蓄積から農業の現状および変化を把握することも,衛星リモートセンシングの活用場面のひとつであると思われる。