龔 園園
国際ビジネス研究 6(2) 15-29 2014年 査読有り
新興国企業による先進国への海外直接投資が急成長している中、先進国企業に対する資本参加やM&Aが注目されている。企業が対外直接投資を行う際には、M&Aかグリーンフィールドかといった進出モードに関する意思決定が重要な課題である。既存研究における進出モードの影響要因に関しては、先進国企業の対外直接投資を対象としたものがほとんどである。そこで、新興国企業による先進国への投資に焦点を当て、進出モードに影響を与える諸要因を分析することが本稿の目的である。本稿は、2002年から2011年までの中国企業による対日直接投資を対象に、進出モードの影響要因についてロジット分析を行った。その結果、自国内で対内直接投資を受け入れ、外国企業との協力経験が豊富な中国企業は、日本に投資する際にM&Aの形態をとる傾向が高いことが分かった。また、日本の成熟産業あるいは斜陽産業に投資する際に、中国企業はM&Aの形を取る傾向があることが分かった。