研究者業績

澤田 佳宏

サワダ ヨシヒロ  (Yoshihiro SAWADA)

基本情報

所属
兵庫県立大学 大学院 緑環境景観マネジメント研究科 准教授
兵庫県立淡路景観園芸学校
学位
博士(農学)(2006年3月 岐阜大学)

J-GLOBAL ID
202001021056472839
researchmap会員ID
R000000750

研究キーワード

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論文

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  • 古本良, 大谷雅人, 指村奈穂子, 澤田佳宏, 横川昌史
    大阪市立自然史博物館研究報告 73(73) 7-11 2019年3月  査読有り
    絶滅危惧種バシクルモンの新潟県における生育状況を明らかにするために,地上シュート数,開花,結実状況を観察し,地下茎観察のために植栽株の掘り取りを行った.生育地の立地を「凝灰岩」「土壌」「法枠」「礫浜」の4つに区分し,27個のコドラートを設置し,341本の地上シュートを調査した.地上シュート数と開花した地上シュートの割合には立地による有意差がなかった.結実はどの立地でも1つもなかった.地下茎は地表下14 cmから20 cmを横走し,盛んに分枝していた.新潟県の生育地において,バシクルモンは種子繁殖ではなく栄養成長により個体群を維持していると考えられた.
  • 指村奈穂子, 大谷雅人, 古本 良, 横川昌史, 澤田佳宏
    植生学会誌 35(1) 1-19 2018年  査読有り
    1.バシクルモンは新潟県,青森県,北海道の海岸に局所分布する希少な植物である.バシクルモンの生育立地特性を考察することを目的として,新潟県の生育地で,143個の方形区を作成し,植生調査を行った.<br /> 2.バシクルモンは,表面が硬く間隙のほとんどない岩場や,堆砂により埋没する砂丘不安定帯や,暴浪による基盤流失のような強い攪乱を不定期に受ける後浜には生育していなかった.また,他種との競争が激しい,Multiplied dominance ratio (MDR)(群落高と植被率の積)が高い風衝草原などにも,バシクルモンは生育していなかった.<br /> 3.バシクルモンは,適度な環境ストレス(例えば,風化の進んだ凝灰岩の崖地の群落)や自然攪乱(例えば,砂丘や礫質海岸の安定帯の群落)および人為攪乱(例えば,海浜後背の斜面などの風衝草原)のもとに成立する群落に高頻度で出現した.これらの群落では他種は大きく繁茂できず,MDRが高くならない立地であるが,バシクルモンは長い地下茎で進入し,高い被度で生育できるようである.<br /> 4.本研究により,バシクルモンは,地下茎を伸ばせるような基質であり,かつ適度なストレスや攪乱でMDRが抑えられた場所に生育することが明らかになった.
  • 黒田 有寿茂, 藤原 道郎, 澤田 佳宏, 服部 保
    植生学会誌 34(2) 87-102 2017年  査読有り
  • 上田 萌子, 服部 保, 澤田 佳宏, 上甫木 昭春
    ランドスケープ研究 78(5) 659-662 2015年  
    On beaches, there is generally the vegetational zonation distributed into five zones in order of drift line communities, dune grasslands, dune dwarf shrubs, dune scrub and dune forest in the direction from shoreline toward inland. In the warm-temperate zone between the central Honshu and Kyusyu, Japanese black pine (Pinus thunbergii) forests are commonly deployed in zones of dune scrub and dune forest. Because most Japanese black pine forests are planted by artificial means, other plant communities originally existed in the distribution areas of those forests. In this study, we investigated the distribution of dune scrub that remains on the beaches. The results show that Quercus phillyraeoides communities are recognized as dune scrub. Species composition of Quercus phillyraeoides communities on beaches was similar to those on rocky seashores, where Quercus phillyraeoides communities are commonly distributed. It is suggested that Pittosporo-Quercetum phillyraeoidis is one of the natural vegetation in distribution areas of Japanese black pine forests on beaches between Izu Peninsula and Tanegashima Island.
  • 金丸 拓央, 澤田 佳宏, 山本 聡, 藤原 道郎, 大藪 崇司, 梅原 徹
    緑化工学会誌 40(3) 437-445 2015年  査読有り責任著者
    オオフサモは主に関東以西の各地で水路の閉塞や在来種の圧迫などの問題を引き起こしており,特定外来生物に指定されている。近年,各地でオオフサモの駆除が行われているが,どの事例でも駆除後にオオフサモが再繁茂し,根絶できていない。本研究では,オオフサモの根絶手法を検討するため,オオフサモの生育状況調査,室内での遮光実験,野外での駆除試験をおこなった。生育状況調査の結果,オオフサモはため池全面を高被度で覆っていたが,定着しているのは水深の浅い水際部だけで,水深が 30 cmを超える場所には生えていなかった。室内での遮光実験の結果,長さ約 20 cmのオオフサモの苗は,遮光期間が長くなるにつれて主茎の上部から枯れ下がり,短くなっていった。遮光 158日目にはまだ生残個体があったが,遮光 197日目には生残個体は確認されなかった。野外での駆除試験の結果,底泥剥ぎ取りと遮光を併用した場合に限り,駆除後にオオフサモが再生しなかった。これは,大部分の根茎断片が底泥剥ぎ取りによって除去され,残された少数の断片が遮光によって枯死したためと考えられる。底泥剥ぎ取りと遮光を併用すれば,オオフサモを局所的には根絶させられる可能性がある。
  • 加久 美雪, 藤原 道郎, 大藪 崇司, 澤田 佳宏, 山本 聡
    環境情報科学論文集 28 19-24 2014年12月  査読有り
    兵庫県淡路島において竹資源の利活用による竹林拡大抑制を目的として,竹稈の現存量と再生量の推定に基づいた燃料として竹の利用と竹林管理の持続可能性を検討した。放棄竹林における稈密度は10,460 本ha-1,生重247.3t ha-1,乾燥重量120.5t ha-1,見かけの材積563.3 m3 ha-1,実材積234.2 m3 ha-1であり,島内全体で320,599 t(乾燥重量)と算出された。本数比約50%の間伐では伐採後8年で竹稈量は間伐前にほぼ回復した。一般家庭で週2 回竹を燃料としたボイラーを使用した際の竹消費量は2.0t/年であった。8 年サイクルの間伐で,燃料としての利用と竹林管理が持続的に行える可能性が示唆された。
  • 上田 萌子, 服部 保, 澤田 佳宏, 上甫木 昭春
    ランドスケープ研究 77(5) 587-592 2014年  査読有り
    It is known that scrub forests such as Hibiscus hamabo community develop around salt marshes in the warm-temperate zone of Japan, but natural forests in the hinterland are still insufficiently known. In this study, we examined species composition, distribution of vegetation and land use on six sites, where scrub forests and natural forests remain. The results shows that Pittosporo-Quercetum phillyraeoidis and Cyrtomio-Litseetum japonicae were recognized as natural forests in the hinterland. It is suggested that these forests remained because the sites received little impact from human activities, or that the black pine forest transitioned to these forests. It might be important in conservation and landscape planning of the salt marsh that natural forests in the hinterland such as Quercus phillyraeoides community and Litsea japonica community are taken into account.
  • 山本ジェイミー順子, 藤原道郎, 大藪崇司, 澤田佳宏, 山本聡
    Hikobia 16(3) 403-412 2013年  査読有り
  • 田中 洋次, 澤田 佳宏, 山本 聡, 藤原 道郎, 大藪 崇司, 梅原 徹
    農村計画学会誌 30 255-260 2011年11月  査読有り責任著者
    淡路島北部を事例として,中山間地におけるため池の放棄(利用停止)の実態と放棄理由等を把握することと,放棄ため池における水生生物保全上の課題を抽出することを目的として,ため池の管理者への聞き取り調査,および放棄ため池の水深と植物相についての現地調査を実施した。
  • 石田 弘明, 黒田 有寿茂, 橋本 佳延, 澤田 佳宏, 江間 薫, 服部 保
    保全生態学研究 15(2) 219-229 2010年  査読有り
  • 松村 俊和, 澤田 佳宏
    植生学会誌 26(2) 103-110 2009年  査読有り
    &nbsp;&nbsp;1. 兵庫県北部の朝来市で風倒被害を受けたスギに着生した大量のカヤランを対象に葉鞘数,結実数,過去の結実の有無を調査した.これらの結果から齢別期間生存率と齢別繁殖率を推定することで推移行列を作成し,その個体群統計を推定した.<BR>&nbsp;&nbsp;2. 調査したカヤランの個体数は1335,最大葉鞘数は53,結実個体数は70,結実経験個体の最小葉鞘数は10であった.結実個体での最大結実数は4,平均結実数は1.56であった.<BR>&nbsp;&nbsp;3. 1年当たり2.5枚展葉する,結実数と定着率に年変動がない,外部との種子の移出入による影響はない,複数年にわたる種子の休眠はないと仮定し,推定した生存率と齢別繁殖率をもとにして推移行列を作成した.<BR>&nbsp;&nbsp;4. 齢別期間生存率は,全ての葉鞘数に対する残差平方和が最小になる葉鞘数を区分点として,葉鞘数の少ない個体と多い個体とで生存率を分けて推定した.区分点の葉鞘数は8であり,葉鞘数8以下と8を超える個体の生存率はそれぞれ0.8161と0.9131であった.<BR>&nbsp;&nbsp;5. 齢別繁殖率は,個体あたりの当年の結実数と果実あたりの平均定着率との積を年2.5枚の展葉枚数で除して推定した.個体あたりの当年の結実数は,最少葉鞘数の結実個体である葉鞘数10以上の全個体で,葉鞘数を独立変数に結実数を従属変数にしたポアソン回帰によって求めた.その結果,回帰式F_L=exp(0.0484L-2.2043)(F_Lは葉鞘数Lでの結実数)を得て,これを葉鞘数10以上の個体での結実数とした.果実あたりの平均定着率は,定着個体数を結実数で除して求めた.結実数は109,推定した定着個体数は490であり,果実あたりの平均定着率は45であった.結実数と定着率との積を年25枚の展葉枚数で除したR_L=1.7994exp(0.0484L-2.2043)(R_Lは葉鞘数Lでの繁殖率)を葉鞘数10以上での葉鞘数ごとの繁殖率とした.<BR>&nbsp;&nbsp;6. 推移行列から得られた本個体群の1年あたりの期間自然増加率は1.0235であった.このことから,調査結果からは本個体群は増加傾向にあると推定した.
  • 服部 保, 栃本 大介, 南山 典子, 橋本 佳延, 澤田 佳宏, 石田 弘明
    植生学会誌 26(1) 49-61 2009年  査読有り
    &nbsp;&nbsp;1. 九州南部の熊本県市房山,宮崎県綾町川中,宮崎県大森岳,鹿児島県栗野岳,鹿児島県白谷雲水峡に分布する照葉樹林において,宿主木の樹幹・枝条に付着する植物の調査を行い,着生植物の種多様性と宿主木のDBHや樹種との関係および5調査地の種組成の相違について比較考察した.<BR>&nbsp;&nbsp;2. イスノキ,タブノキ,アカガシなどの宿主木45種,586個体に着生する植物を調査した結果,着生植物37種を確認した.国内の照葉樹林の着生植物はシダ植物(24種)とラン科(11種)によって特徴づけられていた.<BR>&nbsp;&nbsp;3. 5調査地間の着生植物の種組成を調査地ごとにまとめた出現頻度(%)と平均被度(m^2)によって示された種組成表によって比較した.市房と栗野の種組成が類似し,市房・栗野,川中,白谷が各々異質であった.<BR>&nbsp;&nbsp;4. 5調査地の宿主木をDCAによって配置した.白谷と川中の宿主木が両極に,中間部に市房,栗野,大森が配置された.市房,栗野,大森の混在が顕著であり,組成の類似性が認められた.種組成を示した表とDCAの結果はほぼ一致していた.<BR>&nbsp;&nbsp;5. 5調査地の種組成の違いは気温条件,降水量条件などの環境条件と整合している点が多かったが,種群の詳細な生態的特性等については明らかにできなかった.<BR>&nbsp;&nbsp;6. 全樹種を対象とした着生植物種数(着生多様性)と宿主木のDBHには5調査地共に有意な強い正の相関が認められた.着生多様性とDBHとの回帰式はy=ax+b(y:着生植物種数,x:DBH cm,a・b:定数)で示すことができた.調査地間の回帰式の差は降水量,樹雨量などの水分条件に依ると考えられた.<BR>&nbsp;&nbsp;7. 各樹種においても,着生多様性とDBHには有意な正の相関が認められたが,同じ調査地の異種間および異なった調査地の同種間でも回帰式に差が認められた.異なった調査地の同種間の差は調査地の降水や雲霧などの条件の差に基づき,着生多様性の樹種間の差は樹種のもつ樹皮の性質の違いに基づくと考えられた.着生されにくい樹種としてヒメシャラなどが,されやすい樹種としてタブノキ,イチイガシなどが認められた.
  • 黒田 有寿茂, 澤田 佳宏, 小舘 誓治, 服部 保
    保全生態学研究 14(1) 55-65 2009年  査読有り
    法面保護のために編柵工が施工された植栽林(施工植栽林)と編柵工が施工されなかった植栽林(無施工植栽林)の下層植生を対象に、シダ植物に着目して調査・解析を行った。シダ植物の植被率、平均種数は無施工植栽林より施工植栽林で有意に大きかった。シダ植物の総種数および組成比も施工植栽林で大きい傾向が認められた。施工植栽林における単位面積あたりのシダ植物の種数は近隣の二次林のそれと比較しても大きかった。数種のシダ植物については出現頻度も施工植栽林で有意に大きかった。施工植栽林に出現したシダ植物には陽地生の種も含まれていたが樹林生の種も多く認められた。このようなシダ植物の傾向と比較して、種子植物の種組成と構造については施工植栽林と無施工植栽林であまり大きな違いは認められなかった。一部の緑化・園芸樹木に由来する樹種、先駆樹種、外来樹種、路傍生や林縁生の草本種については施工植栽林と無施工植栽林の両方に高頻度で出現した。これらの結果から、施工植栽林は、エッジ効果を受けているにも関わらず、樹林生の種を含め多くのシダ植物の生育立地として機能していることがわかった。施工植栽林におけるシダ植物の定着要因としては、編柵工の施工による土壌水分の保持能力の高さと階段状の斜面形態が考えられた。これらの知見をもとに、都市部やその近郊におけるシダ植物相の保全について考察した。
  • 澤田 佳宏, 窪田 圭多, 八代 裕一郎, 西脇 愛, 津田 智
    保全生態学研究 13(1) 29-36 2008年6月  査読有り筆頭著者
  • 栃本 大介, 服部 保, 岩切 康二, 南山 典子, 澤田 佳宏
    植生学会誌 25(1) 63-72 2008年  
    &nbsp;&nbsp;1. 宮崎県綾町綾南川上流の大森岳に分布する照葉樹林において,樹木の樹幹・枝上に付着する植物の調査を行い,着生植物の種多様性と樹木の個体サイズとの関係について解析した.また,同一地域の低海抜地で得られた川中の資料を用いて,両調査地における着生植物の種組成を比較した.<BR>&nbsp;&nbsp;2. アカガシ,イスノキ,タブノキなどの照葉樹14種,夏緑樹1種の133個体に付着する植物を調査した結果,マメヅタ,ヒメノキシノブ,マメヅタラン,シノブなどの着生植物22種,テイカカズラ,イタビカズラなどのつる植物10種,ヒノキバヤドリギなどの寄生植物2種,総計34種を確認した.<BR>&nbsp;&nbsp;3. 着生植物の種数と樹木サイズ(DBH,樹高,樹高と胸高周囲の積)には有意な強い正の相関が認められ,全樹種,アカガシ,イスノキ,タブノキにおける着生植物種数とDBHとの関係を表す有意な回帰式を得た.<BR>&nbsp;&nbsp;4. 出現頻度と平均被度面積(m^2)の比較表とDCAを用いて,今回の調査地である高海抜地と低海抜地(川中)における着生植物の種組成を比較したところ,両者には明瞭な違いが認められた.<BR>&nbsp;&nbsp;5. 両調査地において着生植物の種組成に差異がみられた要因としては,海抜差に基づく気温条件や雲霧,降水量条件の違いが考えられた.<BR>&nbsp;&nbsp;6. 着生植物種数とDBHとの回帰式には,高海抜地と低海抜地で差が認められた.高海抜地では回帰式の傾きが大きく,着生植物の付着しにくいイスノキでも有意な回帰直線が得られた.高海抜地では雲霧の発生頻度が高く,着生植物の生育にとって好適な環境条件にあることから,低海抜地と比較して着生植物の種多様性が高くなるものと推察された.
  • 原田俊一, 藤原道郎, 大藪崇司, 山本聡, 澤田佳宏
    景観園芸研究 9 1-8 2008年  査読有り
  • 橋本 佳延, 服部 保, 岩切 康二, 田村 和也, 黒田 有寿茂, 澤田 佳宏
    保全生態学研究 13(2) 151-160 2008年  査読有り
    タケ類天狗巣病は、麦角菌科の一種Aciculosporium take Miyakeの感染によって生じるタケ類を枯死に至らしめる病気で、日本国内では野外においてマダケおよびモウソウチクを含む6属19種8変種8品種2園芸品種のタケ類、ササ類で感染することが確認されており、近年では国内各地で本病による竹林の枯損被害が報告されている。本研究は、兵庫県以西の西日本一帯を中心とした地域において、マダケ群落およびモウソウチク群落のタケ類天狗巣病による枯損の現状を明らかにし、天狗巣病の影響による今後の竹林の動態を考察することを目的とした。西日本の17県および新潟県、宮城県、静岡県の3県において、本病によるマダケ群落およびモウソウチク群落の枯損状況を調査した結果、西日本におけるマダケ群落における本病発症率は全体では93.2%、各県では75%以上と高い水準であったほか、本病による重度枯損林分は10県で確認された。一方、モウソウチク群落における本病発症率は、西日本全体では3.9%、発症率10%未満の県が15県(うち6県が0%)と極めて低い水準で、重度枯損林分も島根県で1ヵ所確認されたのみと被害の程度は低かったが、参考調査地の静岡県においては発症率が50%と高かった。これらのことから、本病は、(1)西日本各地でマダケ群落を枯損に至らしめる可能性のある病気であり、ほとんどのマダケ群落で発症していること、(2)西日本ではモウソウチク群落を枯死させることはまれな病気であり発症率も低いが、局所的に発症率の高い地域もみられることが明らかとなった。また、今後はマダケ群落の発症林分における病徴が進行し国内の広い範囲でマダケ群落の枯損林分が増加すると予想されたが、モウソウチク群落については発症林分や枯死林分の事例が少ないことから今後の動向についての予測は難しくモニタリングにより明らかにする必要があると考えられた。
  • 石田 弘明, 服部 保, 小舘 誓治, 黒田 有寿茂, 澤田 佳宏, 松村 俊和, 藤木 大介
    保全生態学研究 13(2) 137-150 2008年  査読有り
    シカが高密度に生息する地域の森林伐採跡地では、伐採後に再生した植生がシカの採食によって退行し、その結果伐採跡地が裸地化するという問題が発生している。一方、シカの不嗜好性植物の中には、イワヒメワラビのようにシカの強度採食下にある森林伐採跡地で大規模な群落を形成するものがある。このような不嗜好性植物群落は伐採跡地の土壌流亡や植物種多様性の減少を抑制している可能性がある。不嗜好性植物を伐採跡地の緑化に利用することができれば、シカの高密度生息地域における伐採跡地の土壌保全と種多様性保全を同時に進めることができるかもしれない。本研究では、イワヒメワラビによる緑化の有効性を評価するために、兵庫県淡路島の最南部に位置する諭鶴羽山系においてイワヒメワラビ群落の土壌保全効果と種多様性保全効果を調査した。イワヒメワラビ群落(伐採跡地および牧場跡地)、裸地群落(伐採跡地および牧場跡地)、二次林(ウバメガシ林、ヤブニッケイ林)のそれぞれに5m×5mの調査区を複数設置し(合計93区)、調査区ごとに植生調査と土壌調査を行った。その結果、イワヒメワラビ群落では二次林と同様の土壌が維持されていたが、裸地群落では明らかな土壌流亡が観察された。また、イワヒメワラビ群落では、イワヒメワラビの地下茎の作用によって表層土壌が柔らかくなる傾向がみられた。これらのことは、イワヒメワラビ群落の土壌保全効果が高いことを示している。伐採跡地のイワヒメワラビ群落では調査区あたりの森林生種数の割合が最も大きく、その種数は二次林の種数を上回っていた。また、種組成を群落間で比較したところ、伐採跡地のイワヒメワラビ群落には二次林の構成種の大半が出現していた。これらのことから、イワヒメワラビ群落の種多様性保全効果、特に森林生種の多様性を保全する効果は高いと考えられる。従って、イワヒメワラビを用いた伐採跡地の緑化は有効であるといえる。ただし、場合によっては柵工や枠工などの緑化補助工を併用する必要がある。また、伐採跡地の森林再生を図るためにはシカの個体数管理や防鹿柵の設置が必要である。
  • 藤原道郎, 大藪崇司, 澤田佳宏, 岩崎寛, 山本聡
    海岸林学会誌 7(1) 25-30 2007年12月  査読有り
  • 藤原道郎, 岩崎寛, 大藪崇司, 澤田佳宏
    海岸林学会誌 6(2) 19-22 2007年6月  査読有り
  • 服部保, 南山典子, 澤田佳宏, 黒田有寿茂
    人と自然 17 1-11 2007年  査読有り
  • 澤田 佳宏, 服部 保, 内田 圭
    環境情報科学論文集 20 71-76 2006年  査読有り筆頭著者
  • 澤田 佳宏, 津田 智
    植生学会誌 22(2) 135-146 2005年12月  査読有り筆頭著者
    &nbsp;&nbsp;1.日本の暖温帯の主要な海浜植物14種(在来海浜植物11種,外来植物3種)について,永続的シードバンク形成の可能性を明らかにするために,野外において約1年間にわたる播種実験および埋土実験をおこなった.<BR>&nbsp;&nbsp;2.地表0cmおよび地表面下5cmへの播種実験の結果,ハマエンドウ,ハマボウフウ,ハマヒルガオ,ハマゴウ,ネコノシタ,コウボウムギ,コウボウシバ,ビロードテンツキ,コマツヨイグサ,オオフタバムグラ,ボウムギの11種は播種から約1年後にも未発芽の生存種子が残されており,地表付近に永続的シードバンクを形成する可能性があると考えられた.<BR>&nbsp;&nbsp;3.ハマニガナ,オニシバ,ケカモノハシの3種は地表0cmおよび地表面下5cmへの播種から約1年後に未発芽の生存種子は残されておらず,地表付近には永続的シードバンクを形成しにくいと考えられた.<BR>&nbsp;&nbsp;4.地表面下100cmへの埋土試験の結果,対象とした14種はいずれも1年以上の埋土処理後にも発芽能力を維持しており,深く埋められたときには永続的シードバンクを形成する可能性が示された.また,ハマヒルガオを除く13種は,埋土条件下では発芽が完全に抑制されていることが観察された.<BR>&nbsp;&nbsp;5.地温の測定結果から,深深度では,冬季に十分に低温にならないために種子の休眠解除が阻害される可能性や,地温の日変化がほとんどないために種子の発芽要求が満たされない可能性が示唆された.<BR>&nbsp;&nbsp;6.埋土深度の違いによる温度環境のちがいが種子のふるまいを規定している可能性があることから,堆積速度が異なる場所ではシードバンクの成り立ちが異なるものと推察された.堆砂が激しい「不安定帯」では散布された種子が地表面下深く埋められるため,すべての種がシードバンクを形成する可能性が考えられた.一方,堆砂の少ない「半安定帯」では散布された種子は地表付近にとどまり,永続的シードバンクを形成するかどうかは種ごとの休眠発芽特性によって決まると考えられた.
  • 澤田 佳宏, 津田 智
    植生学会誌 22(1) 53-61 2005年6月  査読有り筆頭著者
    &nbsp;&nbsp;1.日本の暖温帯に成立している海浜植生の主要構成種14種(在来海浜植物11種,外来植物3種)について,海流散布の可能性を評価するために,海水に対する浮遊能力と海水接触後の種子発芽能力に関する実験をおこなった.<BR>&nbsp;&nbsp;2.在来海浜植物のうちコウボウムギ,コウボウシバ,ハマエンドウ,ハマボウフウ,ハマゴウ,ハマニガナ,ネコノシタ,ハマヒルガオの8種は浮遊能力が優れており,また,海水接触後にも発芽が可能であったことから,長期間の海流散布が可能と考えられた.<BR>&nbsp;&nbsp;3.在来海浜植物のうちビロードテンツキは海水にほとんど浮かぼなかったため,海流散布が困難と考えられた.オニシバとケカモノハシは10日から20日程度で沈んだため,短期間であれば海流散布が可能と考えられた.<BR>&nbsp;&nbsp;4.海浜に優占群落をつくる外来種(オオフタバムグラ,コマツヨイグサ,ボウムギ)はいずれも,海水にほとんど浮かばなかったため,海流散布が困難と考えられた.これらの外来種は内陸にも生育が可能であることから,内陸を通じて海浜に侵入するものと考えられた.<BR>&nbsp;&nbsp;5.海浜における個体群の孤立化が進行した場合,「外来種」および「長期間の海流散布が可能な在来海浜植物」は局所絶滅後の再侵入が可能であるが,「長期間の海流散布が困難な在来海浜植物」では再侵入が起こりにくくなると考えられる.このため「長期間の海流散布が困難な在来海浜植物」は各地の海浜植物相から欠落していくおそれがある.
  • 服部保, 澤田佳宏, 小舘誓治, 浅見佳世, 石田弘明
    人と自然 7 73-87 1996年10月  査読有り

MISC

 15
  • 遠藤 健彦, 藤原 道郎, 大薮 崇司, 澤田 佳宏, 山本 聡
    海岸林学会誌 = Journal of the Japanese Society of Coastal Forest 15(1) 7-13 2016年6月  
  • 澤田佳宏
    日本生態学会誌 66(3) 639-648 2016年  査読有り筆頭著者
  • 渕田 早穂子, 山本 聡, 澤田 佳宏, 藤原 道郎, 大藪 崇司
    景観園芸研究 = Landscape planning & horticulture (17) 1-7 2015年12月  
  • 松村 俊和, 内田 圭, 澤田 佳宏
    植生学会誌 31(2) 193-218 2014年12月  査読有り
    1. 世界的に生物の生息空間として重要な農地の辺縁部は,土地利用の変化によって急速に生物多様性が減少しつつある.日本の水田畦畔に成立する半自然草原は草原生植物を多く含むが,圃場整備や耕作放棄によって植生は大きく変化しつつある.<br>2. 本論文は日本の水田畦畔植生に関する知見を生物多様性保全の観点から整理し,生物多様性に影響を与える要因とその保全策および研究の方向性を示すことを目的とする.<br>3. 1990 年以前,畦畔草原は植生の研究対象としては注目されなかったが,1990 年代に非整備地の畦畔草原の重要性や,圃場整備および耕作放棄の影響が報告された.2000 年以降は保全方法の提案,裾刈り地の種多様性,同一地域内での比較,埋土種子の調査など多様かつ数多くの研究が行われている.<br>4. 伝統的な景観を維持する棚田やその畦畔は,生物多様性の保全機能,生態的防除機能,環境保全機能を有し,また文化的価値や景観的価値が高い.<br>5. 水田畦畔での種多様性の維持に関する仮説は,時間的・空間的に大規模な要因から小規模な要因まであり,長期的な歴史など大規模な要因はほとんど検討されていない.<br>6. 畦畔草原は歴史的に関連の深い周辺の草原から強く影響を受けてきたと考えられ,その植物相の成立の検証には,歴史学の史料,水田景観,花粉,プラントオパール,微粒炭,遺跡の植物遺体などが参考になる.また,全国的な植生調査および生物地理学や集団遺伝学的な手法によって畦畔草原の種組成の成立機構を明らかにできる可能性がある.<br>7. 畦畔には多様な環境条件や管理方法があるが,これらと植生との対応は未解明な部分が多い.管理との関連では,草刈り頻度や時期についての研究が多くあるものの,草刈り高さなどの草刈り方法と植生との対応はあまり研究されていない.<br>8. 耕作放棄によって水田の面積は減少し,畦畔草原における種多様性の減少と種組成の変化が急速に起こっている.放棄対策には希少種を多く含む場所(ホットスポット)の抽出,草刈り機械や方法の効率化,外部支援,放牧などがある.<br>9. 圃場整備によって,畦畔草原では種多様性の低下や外来種の増加など,植生は大きく変化する.この対策として圃場整備の工事段階では表土の再利用,種子供給源の配置,農業土木的方法の改善が,圃場整備後の段階では播種,刈り草の撒き出し,外来種の除去,保全の場としての整備地の活用などがある.<br>10. 調査・解析方法の課題として,種多様性の比較方法や草原生植物のリストの作成がある.<br>11. 畦畔草原は現状把握や保全が急務であるため,具体的な調査手法や保全手法の確立に向けた提案を示した.さらに,畦畔草原を含む半自然草原全体の保全の必要性を指摘した.
  • 渕田早穂子, 山本聡, 澤田佳宏, 藤原道郎, 大藪崇司, 能勢健吉
    緑化工学会誌 40(2) 352-364 2014年  査読有り

書籍等出版物

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  • 植生学会編, 前迫ゆり責任編集, (書籍編集プロジェクト, 崎尾均, 澤田佳宏, 前迫ゆり)
    文一総合出版 2023年3月30日 (ISBN: 9784829971093)
  • 服部 保, 南山典子, 栃本大介, 上田萌子, 浅見佳世, 澤田佳宏, 山瀬敬太郎, 藤木大介, 田村和也, 矢倉資喜, 藤井禎浩, 武田義明
    公益財団法人ひょうご環境創造協会 2022年5月31日

講演・口頭発表等

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所属学協会

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共同研究・競争的資金等の研究課題

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