田中 あゆみ, 塚本 和子, 丸田 直美
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University 61 81-90 2020年3月31日
妊娠後期の就労女性の負担を軽減する快適なマタニティパンツを設計するために、既製品4 点の着用評価と型紙の形状比較を行った。妊娠後期を想定したマタニティボディを基準に、サイズを満たした既製品4点の着用評価を調査対象者6 名に実施した。また、既製品の型紙をラブオフ法でトレースし、型紙を重合し比較を行った。調査対象者の妊婦は、日頃から妊娠中の腹部に対する圧迫感や支えを意識した服の組み合わせを選んでいる傾向があり、着用評価についても腹部の圧迫に関する回答が特に多かった。着用評価では、しゃがむ、座るといった動作がしやすいこと、着脱が容易であること、腹部に安定感を感じることが評価を高めていた。評価の高かったものと低かったものの型紙を比較すると腹部切替線の位置と股ぐりの形状が腹部の圧迫感に影響していることが考えられた。着用評価を高めるには、前股上の長さを短く設定すること、もしくは前股ぐりのわたり幅に十分なゆとりをもたせること、そして股ぐりの底もしくはクロッチライン付近で十分なわたり幅を確保することの3 点を考慮する必要性が考えられた。