大堀 昇, 湯沢 八江
日本看護研究学会雑誌 32(4) 89-99 2009年9月
本研究では,経皮的冠動脈ステント留置術後に抗血栓薬を処方されている患者に関して,適切な服薬行動がとれているのかを確認し,留置したステントのタイプによって服薬行動に違いがあるのか,また医療者からの説明,あるいは患者の病状の受け止めが,どのような服薬行動と関連しているのかを明らかにした。その結果,服薬行動は全体的に適切であり,留置したステントのタイプによる服薬行動の違いはみられなかった。薬の必要性の理解には,薬剤師と看護師の説明が関係しており,薬の理解には,主治医と看護師の説明,薬の飲み方の理解には主治医と薬剤師の説明,内服作業の面倒さには薬剤師と看護師の説明が関連していた。また患者の病状の受け止めと服薬行動との関連はみられなかった。服薬の受容,経済的負担感,服薬忘れに対する看護師の説明の強化が,適切な服薬行動を促すための今後の課題である。(著者抄録)