井筒節, 長田洋和, 立森久照, 長沼洋一, 加藤星花, 堤敦朗
臨床精神医学 30(5) 525-532 2001年5月28日
32項目からなる小児行動質問表改訂版(CBQ-R)の広汎性発達障害者(PDD)診断の補助尺度としての有用性を,未回答が3項目以下であったPDD群269人,PDD非合併性精神遅滞(MR)群76人のデータで検討した.その結果,鑑別が容易ではないPDDとPDD非合併MRにおいて,CBQ-RをPDD診断補助尺度として使用することの有用性が示された.また,PDDの中でも,自閉症児と特定不能の広汎性発達障害児の弁別妥当性があり,CBQ-Rによって自閉症状に関するより精緻な検討ができる可能性が示された.CBQ-Rは母親記入式であり,項目も少なく簡便に使用できるため,今後の更なる活用が期待される