徳田 玲子, 平田 典子, 松山 温子, 各務 美智子, 宇理須 厚雄, 中島 陽一, 河村 牧子, 近藤 康人, 柘植 郁也, 松永 佳世子
日本ラテックスアレルギー研究会会誌 8(1) 87-91 2004年12月
1歳6ヵ月男児.生後2ヵ月ごろより,顔面〜体幹に湿疹があり,乳児期の脂漏性湿疹としてステロイドや非ステロイド外用薬などで治療していた.生後5ヵ月時になっても湿疹が持続するため血液検査を施行した.特異的IgE抗体がMast法で卵白80.8LC(class 3),ミルク5.43LC(class 1)で,鶏卵の完全除去食を指導された.生後5ヵ月ゴム風船をなめて遊んでいたところ,口周囲から顔面に蕁麻疹が広がった.生後6ヵ月時,バナナ,市販の野菜果物ジュース(リンゴ,オレンジ,レモン,ニンジン,ホウレンソウ,レタス,キャベツ,トマト,パセリ,ハチミツ)を摂取して口周囲に蕁麻疹が出現した.生後10ヵ月に,カキ(柿)を摂食している最中にアナフィラキシー様症状を起こした.乳児期発症のラテックスフルーツ症候群と診断した.バナナ果実抗原と柿果実抗原はお互いにIgE結合能を強く抑制し,ラテックス抗原でも30〜40%の抑制がかかった.よって3者間での交差抗原性の存在を認めた