大島 久徳, 小澤 壯治, 荒川 敏, 熱田 幸司, 川瀬 仁, 永田 英俊, 白石 天三, 川辺 則彦, 梅本 俊治
日本外科系連合学会誌 34(4) 556-561 2009年8月
目的:GISTの手術症例について診断,治療,予後の特徴を明らかにする.方法:2002年1月から2008年10月の間に手術を施行したGIST 25例の診断,手術,化学療法,予後について検討した.結果:年齢は61.8±13.5歳,男女比は14:11.発生臓器は胃18例,十二指腸・小腸5例,直腸2例で,腫瘍径の中央値はそれぞれ3.4cm,6.5cm,6.8cmであった.術前の組織学的な確定診断は,超音波内視鏡下穿刺吸引生検で7例中6例,通常生検4例中3例において可能であった.胃GIST症例において腹腔鏡下手術では開腹術に比べて出血量が少なく(p=0.004),術後在院期間が短かった(p=0.033).リスク分類は7例(28%)が高リスクであり,高リスク群は4年無再発生存率25.1%と不良であった.結語:胃GISTは予後がよく,術中出血量が少なく術後の早期回復が得られるので,腹腔鏡下手術のよい適応である.(著者抄録)