溝越 恵里子, 加賀谷 斉, 小口 和代, 青柳 陽一郎, 柴田 斉子, 稲本 陽子, 服部 亜希子, 山本 顕, 太田 奈津江, 保田 祥代, 近藤 知子, 才藤 栄一
Japanese Journal of Comprehensive Rehabilitation Science 7(2016) 73-79 2017年1月
【目的】急性期総合病院において摂食嚥下障害が疑われる入院患者に対する,嚥下内視鏡検査を用いた嚥下回診の有用性を明らかにすることである.【方法】2013年に嚥下回診を実施した473例(平均年齢79歳)を後方視的に調査した.調査項目は入院時疾患名,栄養摂取状況(ESS),臨床的重症度分類(DSS),食事形態,経過中の肺炎発症,退院先,退院時栄養方法とした.【結果】入院時疾患名は肺炎(48%),脳卒中(20%)が多かった.初回回診時に比し,退院時または介入終了時には全症例,肺炎,脳卒中ともに,ESS,DSS,食事形態の有意な改善を得た(p<0.001).経過中に発症した肺炎は4.9%であった.呼吸器疾患患者の肺炎発症は脳卒中患者に比して有意に高かった(p=0.045).【結論】嚥下回診によりESS,DSS,食事形態の有意な改善を得ることができ,その有用性が明らかになった.(著者抄録)