佐藤峰善, 島田洋一, 佐藤光三, 加賀谷斉, 小西奈津雄, 宮本誠也, 松永俊樹, 飯塚清美
理学療法学 23(6) 359-364 1996年9月
完全対麻痺患者2例の歩行を再建する目的で,経皮的埋め込み電極を用いた多チャンネルの機能的電気刺激,短下肢装具,L型歩行器を組み合わせ,これらに閉ループ制御機構を有するシステムを導入した。動作再建においてはシステムの安定性,歩容,連続歩行距離を評価した。2例とも起立・着席,交互歩行が可能であり,連続歩行距離はそれぞれ20m,25m,平均歩行速度はそれぞれ0.02m/sec,0.03m/secであった。機能的電気刺激による起立・歩行の再建において筋疲労は重要な問題の一つであるが,閉ループ制御により電気刺激を抑制し筋疲労を軽減することが可能であった。完全対麻痺患者においても閉ループ制御を併用した機能的電気刺激システムにより立位のみならず交互歩行も可能であった。