稲本 陽子, 才藤 栄一, 柴田 斉子, 加賀谷 斉, 中山 渕利, 太田 喜久夫, 小野木 啓子, 川村 由佳
Japanese Journal of Comprehensive Rehabilitation Science 5(2014) 33-39 2015年1月
【目的】開発した嚥下評価訓練用椅子swallow chair(SC)の有効性を確認する目的で,実症例において,ベッド上で姿勢を調整した従来法とSC法とで単純性・簡便性・快適性を比較し検討した.【方法】対象は,嚥下造影検査によって,リクライニング,体幹回旋,頭部回旋が有効と判断された嚥下障害患者3症例.検査結果から推奨された代償姿勢をSCとベッド上とで調整し,2条件間での直接訓練をビデオ撮影し比較検討した.調査比較項目は,姿勢調整に要した物品と物品数(単純性),姿勢調整に要した時間(簡便性),疲労と疼痛の程度(快適性)とした.【結果】全症例においてSCではベッドに比し,準備物は少なく,調整時間は短く,主観的な疲労・疼痛程度は少なかった.また検査で推奨された代償姿勢を訓練・食事場面で直接的に用いることができ,姿勢調整変更や食事形態や頻度の改善を認めた.【結論】SCは,評価・訓練・食事場面での姿勢調整を単純,簡便,快適に行うことができる機器であることが分かった.(著者抄録)