坂本 梨香, 瀧 昌也, 荒木 清美, 中村 康治, 大嶋 さゆり, 高見 千由里, 小野木 啓子, 加賀谷 斉, 小宮 浩一郎
愛知県理学療法学会誌 24(1) 23-27 2012年6月
今回、人工膝関節全置換術施行患者の術前の心理状態が、術後の関節可動域の改善と術後在院日数に与える影響について検討した。対象は、当院にて人工膝関節全置換術を施行した25例30膝とした。術前に実施したCMI健康調査表の結果から、心理的正常群(領域I)と心理的非正常群(領域II、III、IV)の2群に分類し、術側膝関節の他動的屈曲角度と術後在院日数について比較した。膝関節他動的屈曲角度の比較時期は、術前、術後開始日、術後1週目、術後2週目、退院時の計5回とした。心理的非正常群では、術後1週目、術後2週目、退院時の膝関節他動的屈曲角度が有意に低値であった。また、術後在院日数は、心理的非正常群において有意に延長していた。患者の心理状態は、関節可動域の改善と入院期間に影響を与えることが指摘された。これらより、人工膝関節全置換術施行患者のリハビリテーションには、身体機能的アプローチのみならず、患者の心理的ケアも重要であると考えた。(著者抄録)