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190MISC
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理学療法学 37(Suppl.2) 588-588 2010年3月【目的】<BR> 失調症患者の歩行能力は、一般にInternational Cooperative Ataxia Rating Scale やScale for the Assessment and Rating of Ataxia (以下:SARA)などを用いて評価されている。しかし、これらの評価は順序尺度であり、微小な変化のある運動失調の症状を正確に捉えることは困難である。そこで、我々は、トレッドミル、三次元動作解析装置、2台のCCDカメラを用いて、失調症歩行の簡便な定量的運動学的評価法を考案した。今回、この評価法の信頼性、妥当性について検討したので報告する。<BR><BR>【方法】<BR> 対象は、健常成人16名 (男性9名、女性7名、年齢29±5歳、以下:健常群)と、失調症状を呈した27名 (男性20名、女性7名、年齢56±17歳、以下:失調群)とした。計測機器は、ADAL 3D Treadmill(Tecmachine社製)と三次元動作解析装置KinemaTracer(キッセイコムテック株式会社製)を用いた。計測は、トレッドミル歩行時に、後方2か所に設置したCCDカメラから、両側外果に装着したカラーマーカを撮影し、サンプリング周波数60HzにてKinemaTracerに20秒間記録した。両群ともに手すりは使用させた。速度設定は、平地快適歩行速度の70%とした。運動学的指標として、各歩行周期のinitial contact(以下:IC)時の外果マーカ位置のばらつき(指標A)と、一歩行周期の外果軌跡長のばらつき(指標B)を用いた。信頼性の検討では、再テスト法を採用し、患者群で同日に休憩を挟んで2回の計測を実施した。2施行分の両指標値の一致度を検討するために、級内相関係数(intraclass correlation 以下:ICC)を算出した。基準連関妥当性の検討では、指標A、BをSARAの歩行能力と比較した。SARAの歩行能力は0点(正常)から8点(最重度)までの9段階で、同一日に評価を行った。両指標値とSARAの相関を検討するために、有意水準5%でのSpearmanの順位相関係数を算出した。また、失調群において経時的に指標A、BとSARAを比較した。両指標値とSARAの経時的変化の相関を検討するために、有意水準5%でのSpearmanの順位相関係数を算出した。<BR><BR>【説明と同意】<BR> 本研究は当大学倫理委員会の承認を得て実施した。被験者には本研究の主旨を口頭および文章にて十分に説明し、研究参加の同意を得た。<BR><BR>【結果】<BR> 患者群での2施行分における両指標値のICCは、指標Aが0.92、指標Bが0.93であり、両指標ともに高値であった。両指標値とSARAの相関係数は、指標Aが0.68、指標Bが0.81であり、両指標ともに中等度から強い相関関係を認めた。両指標値とSARAの経時的変化量の相関係数は、指標Aが0.82、指標Bが0.67であり、両指標ともに中等度から強い相関関係を認めた。<BR><BR>【考察】<BR> 本評価法は、2つの運動学的指標を用いることで再現性、妥当性の良い評価法であることが示唆された。指標AはIC時の接地点が前後左右に不規則に変化すること、指標Bは足部の運動軌跡が不規則で一定しないという失調症歩行の運動学的特徴をそれぞれ捉えられていると考えられた。本評価法で得られる結果は間隔尺度であるため、微小な変化を捉えられる可能性があり、従来法と比較して有用であると考えられた。今後は症例数を増やすことでどちらがより適切な指標であるか、患者の症状によって指標を使い分ける必要があるかを検討していきたいと考える。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 理学療法の場面に求められている科学的根拠に基づく医療(Evidence Based Medicine:EBM)の確立には、その治療効果を客観的に判定できる評価法が必要不可欠である。本研究によって信頼性、妥当性が保障された失調症歩行の定量的運動学的評価が可能となれば、運動失調に対する理学療法の訓練効果判定に活用でき、効果的な訓練方法の確立が可能となると考える。<BR>
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理学療法学 37(Suppl.2) 587-587 2010年3月【目的】<BR> 運動失調の評価には,International Cooperative Ataxia Rating Scale(ICARS),Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)を用いることが一般的である.しかし,これらの評価スケールは順序尺度であり,評価者の主観に結果が左右される,微小な変化をとらえにくい,という欠点がある.運動失調患者の立位動揺の定量的評価としては,重心動揺計による測定があるが,これは足圧中心の動きを指標としてとらえるため,直接的に空間における身体の動揺を計測するものではない.そこで我々は,より臨床的な視点から立位動揺を定量的に評価するため,三次元動作解析装置を用いた簡便な評価法を考案した.本研究では,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした.<BR><BR>【方法】<BR> 対象は,健常者20名(年齢28±5歳,身長165±10cm)と運動失調を呈する患者25名(年齢55±17歳,身長164±9cm)とした.被験者の第7頸椎棘突起にカラーマーカ(直径18mm)を貼付して静止立位をとらせ,2台のCCDカメラを用いて後方から撮影し,三次元動作解析装置KinemaTracer(キッセイコムテック株式会社製)に記録した.サンプリング周波数は60Hz,計測時間は30秒とした.被験者には足を肩幅に開いた立位姿勢をとらせた.また,開眼し前方の目印を注視するよう指示した.計測によって得られたマーカの軌跡から,水平面上の平均速度を算出し,動揺の指標値とした.信頼性の検討には,再テスト法を採用した.健常者20名を対象とし,同日に休憩を挟んで2回計測した.一致度の指標には級内相関係数(Intraclass correlation , ICC(1,1))を用いた.妥当性の検討には,患者25名を対象とし,同日に採点したSARA立位項目(0点:正常~6点:最重度)の得点を外的基準として用いた.指標にはSpearmanの順位相関係数を用い,有意水準は5%とした.<BR><BR>【説明と同意】<BR> 研究計画については,当大学倫理委員会の承認を得た.また,被験者には研究の主旨を口頭および文書で十分に説明し,参加への同意を得た.<BR><BR>【結果】<BR> 健常者における動揺の指標値の級内相関係数は,ICC=0.72となり,高い一致度が得られた.SARA立位項目得点と動揺の指標値とのSpearmanの順位相関係数は0.65(p<0.05)となり,中等度の関連性が認められた.SARA立位項目得点における患者25名の内訳は,0点3名,1点5名,2点7名,3点10名であり,4~6点の者はなかった.<BR><BR>【考察】<BR> 三次元動作解析装置を用いた立位動揺の定量的評価法について,健常者を対象とした検討から,計測の信頼性が示された.また,SARA立位項目との関連性から,運動失調患者に対する評価としての妥当性が確認された.しかし,対象とした患者の中には,SARA立位項目が2点あるいは3点であるにもかかわらず,0点の患者と同等の低い指標値を示す例が存在した.SARA立位項目の0~3点は,つぎ足もしくは閉足姿勢での立位保持能力を考慮して判定されるが,今回使用した動揺の指標値は,肩幅に足を開いた立位姿勢の動揺のみを表したものである.このことから,単一の立位姿勢による評価では,一部の症例において重症度の判別が困難となる可能性がある.今後は,計測時の立位条件について再度検討するとともに,指標の反応性について検証し,この評価方法を臨床での使用に耐え得る有用なものとしていきたい.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 我々が考案した定量的評価法により,運動失調患者の立位動揺に対する客観的な評価が可能となれば,患者の重症度や,理学療法効果についてより正確な判定が行えることとなる.このような客観的な評価方法の確立は「根拠に基づく理学療法」構築の一助になると考える.
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日本臨床 68(増刊3 静脈・経腸栄養) 258-262 2010年3月
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日本臨床 68(増刊3 静脈・経腸栄養) 601-604 2010年3月
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関節外科 29(3) 352-358 2010年3月後側方進入mini-incision total hip arthroplasty(MIS-THA)を施行し6ヵ月以上経過観察したCrowe I型71例75関節について短期成績を調査した。metal-on-polyethylene(MP)を使用したのが36例39関節(MP群)、metal-on-metal(MM)を使用したのが35例36関節(MM群)であった。両群ともに平均JOA hipスコア、術側股関節可動域(屈曲・外転)、中臀筋筋力は増加し、歩行速度は上昇し、いずれにおいても有意差はなかった。術後合併症は、MP群で脱臼を1例認めた。単純X線像では、ステムの内外反については両群とも全例が内反1°から外反1°の間で挿入されていた。2mm以上のsubsidenceおよびreactive lineを認めた例はなく、spot weldsは術後3ヵ月以内にzone 2、3、5、6で両群全例に認めた。臼蓋カップについても、概ね良好に設置されており、弛みを認めた例はなかった。クロムおよびコバルト血中濃度については、術後にMM群で有意に上昇していた。なお、クロムおよびコバルト血中濃度と術後測定時期との間には正の相関がみられた。
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DYSPHAGIA 24(4) 474-475 2009年12月
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DYSPHAGIA 24(4) 479-479 2009年12月
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DYSPHAGIA 24(4) 474-474 2009年12月
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TONGUE PRESSURE SENSOR DISTINGUISHES CONSECUTIVE PHARYNGEAL SWALLOW FROM ISOLATED PHARYNGEAL SWALLOWDYSPHAGIA 24(4) 478-478 2009年12月
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The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 46(12) 810-810 2009年12月
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日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 13(3) 192-196 2009年12月【目的】咽頭期嚥下運動には系列的な舌の食塊移送運動を伴うものと、伴わないものが知られている。本研究では前者をCPS(consecutive pharyngeal swallow)、後者をIPS(isolated pharyngeal swallow)として、両者の舌骨運動軌跡を比較した。【対象と方法】摂食・嚥下障害のない健常人53名を対象とした。被験者にバリウム含有コンビーフ4gと液体5mlの混合物を摂取させた際の咀嚼嚥下について、嚥下造影を2試行した。記録された映像から各試行の1嚥下目と2嚥下目をCPSとIPSに分け、それぞれの舌骨運動の解析を行った。水平、上下方向の最大移動距離、嚥下反射後舌骨が上前方へ移動し停止した位置までの距離と要した時間を計測した。距離についてはC3椎体前縁の長さで除して体格補正をした。【結果】53人106試行中、1嚥下目ではIPS26試行、CPS80試行、2嚥下目ではIPS0試行、CPSが106試行生じていた。1嚥下目にIPSを認めた18名26試行をA群、1嚥下目にCPSを認めた症例から年齢を合致させて選んだ20名30試行をB群として両群の舌骨軌跡を比較した。A群の年齢は61±17歳、B群は61±18歳であった。A群では3.6±0.9回で食塊すべてを嚥下していたが、B群では2.6±0.9回(いずれも平均値±標準偏差)であり、A群で嚥下回数が有意に多かった。IPSはCPSに比し水平、上下方向での最大移動距離、嚥下反射後舌骨が前上方へ移動し停止した位置までの距離と要した時間がいずれも有意に小さかった。【結論】IPSは小さく、速く行われる咽頭期嚥下運動であり、通常の嚥下でも生じている気道防御的な嚥下運動と推測された。(著者抄録)
書籍等出版物
11講演・口頭発表等
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AMED外来がんリハビリテーションプログラムの開発に関する研究班講演会 2017年11月4日
共同研究・競争的資金等の研究課題
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2023年4月 - 2026年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2023年4月 - 2026年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2022年4月 - 2025年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2022年4月 - 2025年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2022年4月 - 2025年3月
教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
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件名-開始年月日2009終了年月日2014概要「リハビリテーション・介護」の講義で音声,動画を使用している.
その他教育活動上特記すべき事項
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件名-開始年月日2012終了年月日2014概要M6学生の指導を行っている