尾関 保則, 馬場 尊, 才藤 栄一, 加賀谷 斉, 三串 伸哉, 横山 通夫, 岡田 澄子, 重田 律子
総合リハビリテーション 36(6) 573-577 2008年6月
[目的]急性期を過ぎた脳幹病変による摂食・嚥下障害に対するリハビリテーションの帰結を求めることを目的とした.[方法]脳幹病変によって3ヵ月以上摂食・嚥下障害が継続し,当科で入院リハビリテーションを施行した患者19例を対象とした.入院時と退院時の嚥下造影所見と摂食状態の変化を調査し,摂食・嚥下障害臨床的重症度分類を用いて評価した.[結果]入院時の摂食・嚥下障害臨床的重症度分類が唾液誤嚥であった症例のうち29%が改善し,食物誤嚥であった症例は82%が改善した.入院時に食物誤嚥であった症例では唾液誤嚥の症例に比べて有意に摂食・嚥下障害臨床的重症度分類の改善がみられた.[結語]脳幹病変による摂食・嚥下障害において,発症後3ヵ月で食物誤嚥以上である症例は一定期間の集中的なリハビリテーションで改善の可能性が高いが,発症後3ヵ月で唾液誤嚥である症例は改善の可能性が低い.(著者抄録)