加賀谷斉, 高橋仁美, 菅原慶勇, 澤田石智子, 笠井千景, 清川憲孝
総合リハビリテーション 36(5) 479-482 2008年5月10日
廃用症候群患者のリハビリテーション前後の移動能力を評価し,リハビリテーション開始時に歩行自立の予測が可能かどうかについて前向き研究を行った.対象は,2003年5月から2004年3月までに入院中の患者で,低・不活動となった闘病期間を挟んで罹患前よりも日常生活動作が低下した症例のうち,脳または運動器疾患をもつ者を除外した平均年齢80歳の70例とした.移動能力を移乗介助,移乗自立,歩行自立の3段階に分け,罹患前の移動能力別に,リハビリテーション開始時と終了時の移動能力を評価した.罹患前は移乗介助11例,移乗自立13例,歩行自立46例であった.移動能力は歩行自立群ではリハビリテーションにより有意に改善し,17例で歩行が自立した.多変量ロジスティック解析では,歩行自立再獲得に影響する因子は,年齢85歳未満で,リハビリテーション開始時に起き上がり動作が自立していることであった.(著者抄録)