花村 美穂, 園田 茂, 鈴木 亨, 岡本 さやか, 三沢 佳代, 岡崎 英人, 加藤 譲司, 坂本 利恵, 才藤 栄一
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 42(4) 269-269 2005年4月18日
症例は74歳の女性で,左後頭葉,頭頂葉出血,多発性脳梗塞後遺症で発症後約1.5ヵ月で当院にリハビリテーション入院した.入院時,感覚性失語症,右半盲,視覚と主として右手の協調運動障害(視覚性運動失調),精神性注視麻痺,視覚性注意障害類似の症状などのBalint症候群様の症状,観念失行,観念運動失行,強制模索,強制把握,保続などの多彩な高次脳機能障害を認めた.また右不全片麻痺,パーキンソニズムを認め端座位保持不能,ADLは全介助であった.リハにおいて言葉のみでなく身体を持って誘導し,強制把握の強い右手は使用せず,左手を中心とした動作練習を行い,保続も利用して動作を反復し,失行を認めたため,動作を分解して1つずつ練習するなどリハを工夫して行うことで左上肢の視覚性運動失調が軽減し,食事動作が自立し,更衣も軽介助で可能となり,ADLの介助量が軽減したため,報告する.