健山 智子, 桶川 萠, 小原 伸哉, 韓 先花, 古川 彰, 金崎 周造, 陳 延偉
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 112(38) 39-44 2012年5月10日
高精細医用画像から構築された人体臓器統計形状モデルは臓器の形状や大きさなどバリエーションを記述したモデルであり,計算解剖学をはじめ診断や治療支援への応用が期待できる.高精度でかつ少数の学習症例数に対しても汎化能力の高い統計形状モデル構築には症例間において解剖学的に同じ特徴の高精度な対応付け,効率的な3次元臓器形状表現確立が求められる.従来は点分布に基づく3次元形状表現に基づいた臓器形状表現による統計形状モデルでは,直交座標系を用いて臓器特徴ベクトル表現,解析を行なっていたが,学習症例に対し,特徴ベクトル次元が膨大になってしまい,汎化能力が低くなるという問題点があった.この解決法として,球座標上で高効率的に臓器形状表現を行うことができる球面調和関数を用いた臓器形状ベクトル表現の確立が注目されている.本研究では,信頼性の高い統計形状モデル構築を目指し,従来のPDM法による統計形状モデルとSPHARMベースの統計形状モデルの比較評価を行う.比較評価は,臓器形状の再現性を示す汎化能力,臓器形状表現の簡潔性,臓器形状特異値排他能力の3つについて検証を行った。