百田 貴洋, 加賀谷 斉, 伊藤 慎英, 酒野 直樹
植草学園大学研究紀要 14 77-81 2022年3月
近年,摂食嚥下に対する機能的電気刺激が用いられている。生体を電気刺激する場合には,最も大きな筋収縮が得られる運動点を刺激することが重要である。運動点は解剖学的には運動神経が筋膜を貫通する部位で舌骨・喉頭挙上筋の運動点はすでに確認されている。しかし,表面電極を用いて電気刺激を行う場合,通常は運動点を挟んで電極を設置する双電極法を用いるが,喉頭挙上筋が存在する頸部は弧を描いているため,運動点を最も有効に刺激が可能である表面電極設置部位は明らかでない。そこで本研究ではX線透視下で電気刺激時の舌骨の運動を計測し,表面電極の最適設置部位を検討した。今回の結果から,舌骨上端より上方1〜2cm舌骨正中より側方2cmに表面電極を設置したときに電気刺激による舌骨の総移動距離と水平方向の移動距離が大きくなることが明らかとなった。(著者抄録)