北澤 晶子, 山上 亘, 真壁 健, 平野 卓朗, 坂井 健良, 千代田 達幸, 小林 佑介, 野村 弘行, 片岡 史夫, 阪埜 浩司, 進 伸幸, 田中 守, 青木 大輔
関東連合産科婦人科学会誌 56(4) 591-596 2019年11月
背景:若年の子宮体癌,子宮内膜異型増殖症(AEH)に対する妊孕性温存療法として,medroxyprogesterone acetate(MPA)を用いた高用量黄体ホルモン療法があるがその再発率の高さが問題となる.本研究ではMPA療法後の再発例の特徴を明らかにすることを目的とした.方法:1998〜2015年,当科で初回治療としてMPA療法を施行した182名を対象とし,倫理委員会の承認のもと,臨床病理学的因子や予後について後方視的に解析した.初回治療前の組織型はAEHで再発時AEHであった34例をA群,初回治療時EMG1で再発時AEHであった37例をB群,初回治療時EMG1で再発時EMG1であった27例をC群とした.結果:病変消失率はいずれも100%で,A群はB+C群に比較し再々発率が低く,再々発までの期間が長かった.妊娠例と非妊娠例では再々発率,再々発までの期間に有意差を認めなかった.結論:G1症例では再発時に進行する可能性もあり慎重な管理が求められる.治療後妊娠例は再発が少ないことから病変消失後の積極的な不妊治療がすすめられるが,分娩後も再発する可能性があり継続した管理が求められる.(著者抄録)