釜付 弘志, 金倉 洋一, 野村 裕久, 永田 文隆, 石川 順子, 新里 康尚, 山口 陽子, 丹羽 邦明, 森川 重敏, 高橋 正明, 米谷 国男, 徳永 泰基, 石川 洋, 伊藤 誠
日本東洋医学会雑誌 45(4) 849-858 1995年
従来,切迫早産の治療は安静療法が主で,その補助療法として薬物療法がある。しかしその副作用や投与限界量等により,有効な治療効果が達成できないことがある。今回我々はこのような症例に対して灸療法と,その原理から電気的に考案されたマイクロ波発振装置による刺激療法を行い,良好な結果を得たのでここに報告する。妊娠24週以降の切迫早産患者に対して至陰,湧泉,三陰交の穴に灸療法を行った。その結果,灸療法により作用時間は短かったが子宮緊張が緩和され,胎動が増加し,臍帯動脈,子宮動脈の血管抵抗が低下することがわかった。また,マイクロ波刺激を頻回に行うことにより同様の効果を長時間持続でき,しかも副作用は認められなかった。その結果,薬物療法に灸療法を併用すると薬物の使用量を減らすことができ,それによって副作用の発現頻度を抑えることができた。灸療法は切迫早産の新しい治療法として有効かつ安全であると考えられた。