研究者業績

小山 総市朗

koyama soichiro

基本情報

所属
藤田医科大学 保健衛生学部 リハビリテーション学科 理学療法評価学
学位
博士(理学)

研究者番号
90754705
J-GLOBAL ID
201601013821544252
researchmap会員ID
7000015671

外部リンク

論文

 84

MISC

 137
  • 青山 貴文, 小山 総市朗, 田辺 茂雄, 河村 信利, 金田 嘉清, 櫻井 宏明
    日本物理療法学会学術大会抄録集 22回 23-23 2014年9月  
  • 生野 公貴, 渕上 健, 小山 総市朗, 藤川 加奈子, 小林 啓晋, 北裏 真己, 松永 玄, 河口 紗織, 山口 智史
    理学療法学 41(大会特別号2) 0446-0446 2014年5月  
    【はじめに,目的】脳卒中後の歩行能力再獲得は,リハビリテーションの重要な目標である。近年,歩行能力獲得への介入として,ペダリング運動や電気刺激,それらの併用による効果が報告されている。先行研究ではペダリング運動に機能的代償として電気刺激を併用する報告が多いが,特殊な装置が必要なため臨床で簡便に用いることが困難であった。また適切な対照群を設定していないため,併用治療が各治療単独より効果的かどうかは不明であった。我々は,回復期脳卒中患者を対象として,ペダリング運動中に簡便に使用可能な感覚刺激強度の電気刺激を併用することが歩行能力改善に有効かどうかを多施設間ランダム化比較対照試験で検討することを目的とした。本報告はその中間解析として臨床効果と目標症例数の確認を行った。【方法】対象は7施設の回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中患者である。参加基準は,発症後6か月以内である初回発症の脳梗塞および脳出血患者,監視レベル以上で10m以上の歩行が可能なものとした。研究デザインは多施設間単一盲検ランダム化シャム統制試験とし,対象者をペダリング運動と電気刺激併用(P-ES)群,ペダリング運動と偽刺激併用(P-Sham)群,電気刺激単独(ES)群の3群に無作為に割り付けた。ランダム化には単純ランダム化を用い,割り当ては中央登録性とした。介入は,標準的リハビリテーションに加えて1日1回15分の治療介入を週5回3週間実施した。ペダリング運動には,リカンベントエルゴメーターを用い,負荷は25Wとし,快適な回転速度にて15分間実施した。電気刺激には低周波治療器(Trio300,伊藤超短波社製)を用いた。刺激部位は大腿四頭筋と前脛骨筋とし,対称性二相性パルス波にて周波数は100Hz,パルス時間は250μsとした。刺激強度は感覚閾値の1.2倍とし,ペダリング運動と同時に15分持続的に刺激した。P-Sham群は「非常に弱い電気を流します」と伝えて刺激強度を0mAとした。ES群は電気刺激のみとし,椅子座位にて15分実施した。主要評価項目は10m歩行速度とし,副次的評価項目は6分間歩行テスト,modified Ashworth scale,Fugl-Meyer Assessment下肢,膝伸展筋力,Functional Independence Measure,Stroke Impact Scaleとした。評価は介入前,3週後,6週後に測定した。統計解析は介入前の群間比較に一元配置分散分析またはカイ二乗検定を行った。3週後および6週後の3群間の多重比較には,Bonferroniの補正を行ったt検定を実施した(α=0.017)。3週後の主要評価項目の結果から効果量およびパワーを算出し,必要症例数を求めた。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は各実施施設における倫理委員会の承認を受けた。対象者には本研究の主旨を説明し,手記にて同意の得られたのちに介入を実施した。尚,本研究はUMIN臨床試験登録をしている(UMIN000007685)。【結果】研究期間中,P-ES群に10名,P-Sham群に14名,ES群に15名の計39名が割り当てられた。ES群の1名が脱落した。介入実施中の有害事象はなかった。介入前評価において,全評価項目で3群間に有意差はなかった。3週後評価では,10m歩行速度においてP-ES群はP-Sham群と比較して有意な改善を示し(P=0.016),ES群とは有意差がなかった(P-ES群:0.77±0.18m/s,P-ES群:0.53±0.24m/s,P-ES群:0.71±0.34m/s)。その他の評価項目に有意差はなかった。6週後では,10m歩行速度においてP-ES群はP-Sham群と比較して有意な改善を示し(P=0.001),ES群とは有意差がなかった(P-ES群:0.85±0.19m/s,P-Sham群:0.53±0.18m/s,ES群:0.72±0.34m/s)。その他の評価項目に有意差はなかった。3週後の10m歩行速度の結果から,効果量は0.4,パワーは0.56であり,必要症例数は66名と計算された。【考察】本研究はペダリング運動と電気刺激を併用することでペダリング運動単独よりも歩行速度の改善が有意に大きいことを明らかにした。電気刺激単独との有意差はなかったが,併用治療がもっとも改善度が大きい傾向にあった。これは,電気刺激と随意運動の併用が最も皮質脊髄路の興奮性を増大させる,あるいは相反神経抑制を増大させることに起因するかもしれない。本研究は先行研究よりも簡便に実施することが可能であり,脱落率も低いことから歩行速度改善に対して臨床有用性が高い治療であると考えられる。今後目標症例数に到達することで,より正確な結果を示すことが可能である。【理学療法学研究としての意義】本研究は多施設間ランダム化比較対照試験において脳卒中後歩行障害に対するペダリング運動と電気刺激の併用治療の効果を検証した貴重な報告である。今後研究を継続し,有効性が強固なものになれば,歩行障害に対する介入のエビデンスの構築に大いに寄与すると考えられる。
  • 野嶌一平, 渡邊龍憲, 田辺茂雄, 小山総市朗
    日本基礎理学療法学雑誌 18(1) 47-47 2014年  
  • 松山可歩, 小山総市朗, 田辺茂雄, 金子友亮, 神野哲夫
    日本作業療法学会抄録集(CD-ROM) 48th 2014年  
  • 早川陽介, 小山総市朗, 田辺茂雄, 金子友亮, 神野哲夫
    日本作業療法学会抄録集(CD-ROM) 48th 2014年  
  • 藁科弘晃, 小山総市朗, 武田和也, 本谷郁雄, 田辺茂雄, 櫻井宏明, 金田嘉清, 永田淳二, 神野哲夫
    日本ニューロリハビリテーション学会学術集会プログラム・抄録集 5th 2014年  
  • 小山総市朗, 藁科弘晃, 武田和也, 田辺茂雄, 櫻井宏明, 金田嘉清, 永田淳二, 神野哲夫
    日本ニューロリハビリテーション学会学術集会プログラム・抄録集 5th 2014年  
  • 小山総市朗, 田中悟志, 田辺茂雄, 定藤規弘
    日本理学療法学術大会 49th(大会特別号2) 0911-0911 2014年  
    【はじめに,目的】近年,脳機能を簡便かつ安全に促進する手法として経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation;tDCS)が注目されている。tDCSは,頭蓋上に貼付した電極から微弱な直流電流を与えて大脳皮質の興奮性を修飾する手法である(Nitsche and Paulus.2000)。tDCSは,運動学習やリハビリテーション効果を促進する補助的な治療法として臨床応用が期待されている。一次運動野(primary motor cortex:M1)へのtDCSは,運動学習中の成績を促進出来ることがこれまで報告されている(Nitsche et al.,2001;Hummel et al.,2010)。しかし,運動技能の獲得において大切なのは,学習中の成績ではなく,むしろ学習した技能がしっかり獲得され,必要な場面で発揮されることである。技能獲得には,技能の定着化と呼ばれるプロセスが重要である(Robertson et al.,2004)。学習した運動技能は,学習後も無意識かつ自動的に脳内で処理され続け,学習直後の外部干渉を受けやすい状態から段々と干渉を受けにくい安定した状態に遷移すると考えられており,このプロセスが技能の定着化と呼ばれている。これまでの研究から,技能の定着化にはM1が重要な役割を担うことが示唆されている(Muellbacher et al., 2002)。本研究の目的は,M1へのtDCSが運動技能の定着を促進出来るか健常成人を対象とした実験で明らかにすることである。【方法】健常成人22名(平均年齢25.9±2.2歳,男性14名)を対象とした。研究はランダム化,単盲検化,群間比較デザインを用いた。被験者はtDCSの刺激条件によって2群に分けられ,運動技能の学習中にM1に対しtDCSを行うことにより,学習後の技能定着に促進効果があるかを検討した。被験者は連続する二日間の実験に参加した。被験者は初日に母指の屈曲運動技能(Muellbacher et al., 2002)を学習し,学習から1時間後また24時間後に再度同じ課題を実施した。母指の屈曲運動課題では,被験者はビープ音を合図に可能な限り速く母指の屈曲運動を行った。左母指指腹に貼付した1軸加速度計によって,母指の屈曲運動の加速度を計測し最大加速度を解析指標とした。被験者には試行ごとに最大加速度を視覚的にフィードバックした。被験者の左上肢は装具を用いて肘関節より遠位を母指を除いて固定した。固定肢位は,肘軽度屈曲位,前腕回内外中間位とした。課題は1セッション300試行とし,学習セッション,学習セッション終了から1時間後,24時間後の計3セッション行った。60試行毎に2分間の休憩を設けた。tDCSは,学習セッション中に実施した。刺激群の11名には刺激強度1mAで25分間刺激した。陽極電極は右半球M1の直上におき,陰極電極は左半球M1の直上に貼付した。他の11名は偽刺激群に参加した。偽刺激群では刺激群と同じ電極配置で最初の15秒間のみ1mAで刺激した。データ処理はセッションごとの中央値を算出し,tDCS実施前のベースラインにおける最大加速度によって標準化した。ベースラインからの各セッションの最大加速度の変化を二群間で比較した。統計学的解析は,Wilcoxonの符号順位検定を用い有意水準5%未満を有意差ありとした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究の実施手順および内容はヘルシンキ宣言に則り,当研究所倫理委員会の承諾を得た後に実験を行った。被験者には研究者が口頭および書面にて研究目的,方法,利益や不利益,プライバシー管理を説明の上,同意を得た後,同意書に署名を頂いた。【結果】tDCS実施前のベースラインでは,群間で最大加速度に有意差はなかった(p=0.38)。tDCS刺激時の最大加速度は刺激群(145.3%±18.3;mean±SE)と偽刺激群(112.6%±17.0)との間で有意差を認めなかった(p=0.09)。1時間後の最大加速度は刺激群(101.2%±14.5)と偽刺激群(118.3%±18.6)で有意差は認めなかった(p=0.13)。一方,24時間後の最大加速度は刺激群(145.8%±18.9)と偽刺激群(102.4%±10.8)で有意差を認めた(p<0.05)。【考察】運動学習中と学習1時間後は群間で母指屈曲の最大加速度に差を認めず,24時間後では群間で差を認めた。これはM1へのtDCSが24時間後の運動技能の定着を促進したと解釈される。この促進のメカニズムは不明であるが,tDCSが運動技能の定着に重要な長期増強などの神経可塑性を誘導した可能性がある(Nitsche et al.,2001;Fritsch et al.,2010)。今後は脳卒中患者を対象に母指の屈曲運動の再獲得にtDCSが有効であるかを検討する必要がある。【理学療法学研究としての意義】本研究成果により,tDCSは母指の屈曲運動の技能定着を促進させることを示した。母指の屈曲運動は,脳卒中患者にとって再獲得が難しい課題である(Lang et al.,2007)。したがって,脳卒中患者のリハビリテーションにおいて,tDCSが母指の屈曲運動の再獲得に有効である可能性を示した点で意義がある。
  • 生野 公貴, 渕上 健, 小林 啓晋, 藤川 加奈子, 小山 総市朗, 河口 紗織, 北裏 真己, 松永 玄, 山口 智史
    理学療法学 41(2) 106-107 2014年  
    本研究は,回復期脳卒中片麻痺患者の歩行障害に対してペダリング運動中に電気刺激を併用することが有益かどうかを調査することを目的とした。報告書においては,現在も研究継続中であるため,介入の安全性と実現可能性について検討し報告する。対象は発症後6ヵ月以内の回復期脳卒中片麻痺患者である。研究は7施設によるassessor-masked, randomized, sham controlled trialで実施した。対象者は無作為にペダリング運動と電気刺激併用群(7名),ペダリング運動と偽刺激群(7名),電気刺激単独群(6名)の3群に割りあてられた。各々1日15分,週5回3週間の計15セッションの介入を実施し,各セッション前後の血圧および脈拍と有害事象の有無を評価した。その結果,すべての対象者において前後の血圧および脈拍では運動中止基準を超えなかった。また1名(電気刺激群)が体調不良により脱落したが,有害事象の報告はなかった。本法は回復期リハビリテーション期間においても安全に実施可能であると考えられた。
  • 本谷 郁雄, 櫻井 宏明, 志村 由騎, 渡 哲郎, 小山 総市朗, 渡辺 章由, 金田 嘉清
    東海北陸理学療法学術大会誌 29回 83-83 2013年11月  
  • 武田 和也, 小山 総市朗, 田辺 茂雄, 本谷 郁雄, 櫻井 宏明, 金田 嘉清
    東海北陸理学療法学術大会誌 29回 104-104 2013年11月  
  • 藁科 弘晃, 小山 総市朗, 田辺 茂雄, 櫻井 宏明, 金田 嘉清
    東海北陸理学療法学術大会誌 29回 166-166 2013年11月  
  • 小山 総市朗, 武田 和也, 田辺 茂雄, 後山 耕輔, 櫻井 宏明, 金田 嘉清
    日本物理療法学会学術大会抄録集 21回 49-49 2013年10月  
  • 金子 友亮, 小山 総市朗, 田辺 茂雄, 櫻井 宏明, 金田 嘉清
    日本作業療法学会抄録集 47回 O118-O118 2013年6月  
  • 福井 龍太郎, 小山 総市朗, 伊藤 慎英, 田辺 茂雄
    理学療法学 40(大会特別号3) P-140 2013年5月  
  • 武田 和也, 小山 総市朗, 藁科 弘晃, 後山 耕輔, 青山 貴文, 金子 友亮, 早川 陽介, 本谷 郁雄, 田辺 茂雄, 櫻井 宏明, 金田 嘉清, 永田 淳二, 神野 哲夫
    理学療法学 40(大会特別号3) P-B神経 2013年5月  
    【はじめに、目的】脳卒中片麻痺患者の上肢機能に対する治療法として,反復性経頭蓋磁気刺激法(repetitive transcranial magnetic stimulation 以下rTMS) が注目されている.さらに近年,麻痺側上肢への治療的電気刺激(Therapeutic electrical stimulation 以下TES)との併用や上肢機能運動との併用が上肢運動機能を改善させるとの報告がある. しかし,rTMS, TES,上肢機能運動をすべて併用した治療については十分に検討されていない.本研究では,脳卒中片麻痺患者の上肢機能障害に対する非損傷脳へrTMS,麻痺側上肢へのTES,上肢機能運動の併用による治療効果を検討した.【方法】対象者は慢性期脳卒中片麻痺患者14名(右片麻痺4名,左片麻痺10名),性別は男性6名,女性8名,平均年齢は59.44歳,発症後期間は1108.81±826.39日であった.rTMSとTESは同期して実施した.rTMS にはマグスティム社製Magstim Super Rapidおよび8の字コイルを使用した.刺激部位は健側第一背側骨間筋の運動誘発電位の誘発可能部位,刺激周波数は1Hz,刺激強度は安静時運動閾値の90%とした.TESには日本光電社製SEN-8203とSS-104Jを使用した.刺激部位は手関節伸筋群,刺激周波数は1Hz,刺激強度は手関節の伸展運動を10°誘発可能な強度とした.電気刺激パターンは周波数40Hz,パルス幅250us,刺激時間500ms,休止時間500msとした.1セットはrTMSおよびTESを連続440回とし,1日2回,休日を除いて2週間施行した(計12日).上肢機能運動はrTMS施行直後から1時間(2回/日),従来から用いられている麻痺側上肢機能運動を行った.治療の効果判定は,Stroke Impairment Assessment Set Motor のknee/mouth(以下 SIAS-M knee/mouth),finger(以下 SIAS-M finger), Fugl-Meyer assessment(以下 FMA)上肢項目の項目毎にFMA shoulder,FMA wrist,FMA hand,FMA 協調動作,FMA 上肢合計, Modified Ashworth Scale(以下 MAS)を治療前後で評価を行った.統計学的分析を行うに当たり,SIAS-M finger 1点は3段階の内訳があるため,1a,1b,1c,を1,2,3点に変換し,以降の点数,2,3,4,5点を4,5,6,7点と,0から7点までの8段階に変換した.また,MASにおいても,1+を2点と変換し,以降の点数,2,3,4点を3,4,5点と,0から5点までの6段階に変換した.統計学的分析には,統計ソフト SPSS statics ver19.0 を用いて,治療前後の比較をwilcoxon符号付き順位和検定にて行った(P<0.05).【倫理的配慮、説明と同意】本研究の実施手順および内容はヘルシンキ宣言に則り,当院倫理委員会の承諾を得た後に治療を開始した.また,治療は臨床神経生理学会のガイドライン2009を順守した.対象者には,医師にから治療並びに評価の手順,意義,危険性,利益や不利益,プライバシー管理,研究目的,方法を説明の上,同意書にサインを頂いた.【結果】SIAS-M knee/mouth ,SIAS-M finger,FMA shoulder,FMA wrist,FMA hand,FMA 協調動作, FMA 上肢合計,MASは治療前後で,それぞれ2.00±1.03点から2.25±0.85点,1.00±0.96点から1.50±1.46点,13.00±5.34点から16.00±6.00点,1.25±2.49点から1.75±3.40点,1.93±2.79点から3.00±3.81点,0.50±1.03点から0.75±1.34点,16.56±10.40点から21.50±13.43点,2.8±0.9点から2.3±0.9点と改善した.SIAS-M finger,FMA shoulder,FMA hand,FMA 上肢合計,MASには統計学的有意差を認めた.【考察】脳卒中片麻痺患者の上肢機能障害に対する,rTMS,TES,上肢機能運動の併用による治療効果について, 治療前後でSIAS-M finger,FMA shoulder,FMA hand,FMA 上肢合計,MASに有意な改善を認めた.非損傷脳への低頻度rTMSは非損傷脳から損傷脳への過剰な脳梁抑制を軽減し,麻痺側上肢運動機能を改善すると報告している.また麻痺側上肢へのTESは,損傷脳の皮質興奮性を促通すると報告されている.上肢機能の運動学習に関しては, 使用依存的に可塑性を誘発するという報告がされている.本研究で得られた上肢運動機能改善は,これらのrTMSおよびTESによる神経生理学的な改善と上肢機能運動を併用することによる使用依存的な可塑性によるものと考えられる.【理学療法学研究としての意義】本研究によって, rTMS,TES,上肢機能運動の併用が脳卒中片麻痺患者の上肢機能障害を改善する事が示唆された.この結果は,TESや上肢機能運動などの理学療法効果をrTMSが増大させる可能性を示唆するものであり,効果的な上肢運動機能改善プログラム構築に関して大きな意義があると考えられる.
  • 福井 龍太郎, 小山 総市朗, 伊藤 慎英, 田辺 茂雄
    理学療法学Supplement 2012 48101853-48101853 2013年  
    【はじめに、目的】バランス機能は,安定した立位歩行動作の遂行に重要とされている.バランス機能の低下は,転倒の主要因とされており,要介護状態の一因として挙げられている.したがって,適切にバランス機能を評価する事は,転倒予防や要介護予防に重要と考えられる.臨床場面において,実施頻度の高いバランス機能検査として,Timed Up and Go test (以下,TUG)や継ぎ足歩行検査があげられる.TUGは信頼性,妥当性が認められており,実施方法も,先行報告間で一致している.一方,継ぎ足歩行検査も信頼性,妥当性が認められているものの,実施方法が先行報告間で一致していない.検査自体が練習となり,短期の運動学習効果が結果に含まれてしまう可能性も考えられ,検査の最適な測定手順を明らかにすることは重要な検討課題である.本研究の目的は,検査回数に伴う継ぎ足歩行検査測定値の変化を検討することである.【方法】対象は健常成人11 名(男性6 名,女性5 名,年齢30.6 ± 7.0 歳).既往に神経学的障害や筋骨系経障害,認知障害を有する者は除外した. 継ぎ足歩行の測定方法は,静止立位を開始肢位とし,開始の合図とともに,床面に引いたテープ上を一側のつま先に対側の踵を接触させ歩行させた.歩行中の上肢は自由肢位とした.測定時の口頭指示は,「今から継ぎ足歩行を行います.つま先と踵を確実に付け,出来るだけ速く行って下さい.連続12 歩付けた時の時間を測ります」に統一した.測定はストップウォッチを用いて,開始時点から10 歩目の接地までの時間を測定した.測定値は1/100 秒単位で記録した.測定は計4 回測定した.統計学的解析には,一元配置分散分析を用いて,Bonferroniの多重比較検定を行い(P>0.05),施行毎の級内相関係数ICC(1.1)を算出した.【倫理的配慮、説明と同意】本研究の実施手順および内容はヘルシンキ宣言に則り,倫理審査委員会の承諾後に開始した.対象者には,評価の手順,意義,危険性,利益や不利益,プライバシー管理,研究目的,方法を説明の上,同意書にサインを頂いた.【結果】測定値は1 回目4.65 ± 0.76 秒,2 回目4.40 ± 0.76 秒,3 回目4.39 ± 0.70 秒,4 回目4.36 ± 0.66 秒であった.施行毎に統計学的な有意差は認められなかった.級内相関係数は1回目と2回目0.80, 2回目と3回目0.87, 3回目と4回目0.97であった.測定回数を増やすことで級内相関係数は上昇した.【考察】施行回数毎の測定値に統計的な差は認めなかったものの,測定値は上昇傾向を示し,短期の運動学習効果が結果に含まれてしまう事が示唆された.また,測定を繰り返す事で,測定値の上昇は少なくなり,短期の運行学習効果を排除出来る可能性が示唆された.測定方法の信頼性に関して,過去の報告においては,同一日に継ぎ足歩行を2 回計測させた際のICC(1,1)は0.78 であった.本研究の結果も,1 回目と2 回目のICC(1,1)は0.80 であり測定方法は信頼できると考えられる.さらに,3 回目と4 回目のICC(1,1)は0.97 であり,臨床的には3 回目と4 回目を測定値として用いる事が望ましいと考える.本研究結果より,最適な継ぎ足歩行検査方法は,実計測前に2 回継ぎ足歩行検査の練習をさせる事で,初回の課題内容の理解不足や短期間の運動学習によって生じる,見変え上の継ぎ足歩行速度向上効果を排除でき,3 回目と4 回目の測定値を用いる事で適切にバランス機能の評価を継ぎ足歩行検査によって測定できる事が示された.この継ぎ足歩行検査方法によって継ぎ足機能の評価を行う事は,高い信頼性を有する為,非常に有益である.今後は,TUGなど既存のバランス機能評価方法との妥当性を検証する.【理学療法学研究としての意義】本研究によって, 継ぎ足歩行を測定する際は,最低3 回測定することで信頼性の高い結果が得られることが示された.この結果は, 継ぎ足歩行を用いてバランス機能を正確に測定する上で,大きな意義があると考える.
  • 早川陽介, 小山総市朗, 金子友亮, 田辺茂雄, 神野哲夫
    日本作業療法学会抄録集(CD-ROM) 47th O005-O005 2013年  
  • 加藤 勇気, 小山 総市朗, 平子 誠也, 本谷 郁雄, 田辺 茂雄, 櫻井 宏明, 金田 嘉清
    東海北陸理学療法学術大会誌 28回 86-86 2012年11月  
    【はじめに】 動的バランス能力低下を引き起こす要因として、足底感覚の低下が報告されている。その機序の一つとしては、機械的受容器の非活性化が示唆されている。臨床では、機械的受容器の賦活にタオルギャザーや青竹踏みが用いられている。しかし、刺激量が定量化できない事、随意運動が不十分な患者では施行できない事が問題となっている。近年、経皮的電気刺激(transcutaneous electrical stimulation以下TES)を用いた機械的受容器の賦活が報告され始めている。本手法は、刺激量が定量化でき、随意運動が不十分な患者でも施行できる利点がある。過去報告では、下腿筋群に対する運動閾値上のTESによって、足底感覚と動的バランス能力の改善を認めている。しかし、感覚鈍麻を認める患者においては、可能な限り弱い強度での電気刺激が望ましい。本研究では、足底に対する運動閾値下のTESによって動的バランス能力が向上するか検討した。<br>【方法】 対象は健常成人17名(男15名、女3名、平均年齢24.6±3.2歳)とし、10名をTES群、7名をコントロール群に分類した。TES装置はKR-70(OG技研)を用いた。電極には長方形電極(8㎝×5㎝)を使用し、足底、両側の中足骨部に陰極、踵部に陽極を貼付した。TESは周波数100Hz、パルス幅200us、運動閾値の90%の強度で10分間連続して行った。コントロール群は10分間安静を保持させた。動的バランス能力の評価にはFunctional Reach Test(FRT)を用いた。FRTの開始姿勢は、足部を揃え上肢を肩関節90°屈曲、肘関節伸展回内位、手関節中間位とした。対象者には指先の高さを変えない事、踵を拳上しない事を指示し、最大前方リーチを行わせた。測定は2回行い、その平均値を算出した。統計学的解析は、各群の介入前後の比較に対応のあるt検定を用いた。本研究の実施手順および内容はヘルシンキ宣言に則り当院倫理委員会の承諾を得た。対象者には、評価手順、意義、危険性、利益や不利益、プライバシー管理、目的を説明し書面で同意を得た。<br>【結果】 TES群は介入前FRT 34.6±3.2㎝、介入後36.9±3.2㎝と有意な向上を認めた。一方で、コントロール群は介入前34.3±1.9㎝、介入後34.6±2.0㎝と有意差は認められなかった。<br>【考察】 足底に対する運動閾値下のTESは、動的バランス能力を向上させた。過去の報告で用いられた下腿筋群に対する運動閾値上のTESの作用機序としては、筋ポンプ作用によって末梢循環が改善され、機械的受容器が賦活されたと示唆されている。したがって、本研究における運動閾値下のTESの作用機序は異なるものであると考えらえる。運動閾値下のTESは、刺激部位の機械的受容器や上位中枢神経系の賦活が報告されている。機械的受容器の感受性改善は、足底内での細かな重心位置把握を可能とし、上位中枢神経系の賦活は、脊髄反射回路の抑制によって協調的な動作を可能にすると考える。今後、足底に対する運動閾値下のTESと重心動揺、上位神経系との関係を明らかにすることで、動的バランス能力向上の機序がより明確になると考える。<br>【まとめ】 本研究によって足底に対する運動閾値下のTESが動的バランス能力を向上させることが示唆された。
  • 渡 哲郎, 本谷 郁雄, 志村 由騎, 小山 総市朗, 金田 嘉清, 櫻井 宏明
    東海北陸理学療法学術大会誌 28回 88-88 2012年11月  
    【目的】 養成校増加に伴い療法士数は飛躍的に増加し、臨床現場における経験年数の若年化という状況を生じている。当院リハビリテーション科においても新人療法士は全体で30%を占めており、院内勉強会や経験者による臨床指導の研修を行っている。しかし、様々な指導により教育方法が統一されないという現状から臨床能力の把握と指導方法の標準化が必要と考えた。そこで、客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination:以下OSCE)を導入し、新人療法士の臨床能力の把握、問題点抽出から臨床指導方法を検証したので報告する。<br>【対象】 平成24年度入職の新人療法士19名(理学療法士13名、作業療法士6名)。平均年齢22±0.5歳。<br>【方法】 OSCEは藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科が作成した療法士版OSCEを使用した。評価者2名、模擬患者1名、課題は入職後最も患者に施行すると考えられた関節可動域測定(以下:ROM)・徒手筋力検査法(以下:MMT)・起き上がり動作補助/誘導・移乗動作補助/誘導の4課題を選択した。評価は4月、5月に施行した。評価方法は各課題の問に対し[good]2点、[fair]1点、[poor]0点で評価し、各課題の得点率(%)を算出した。4月評価後、対象者19名を5月評価までの1ヶ月間にて臨床指導とOSCEからの問題点を基にした臨床技術教育を行うAグループと臨床指導のみを行うBグループに分け、4月・5月でのグループ間の結果を比較した。統計学的分析はWilcoxonの符号付順位検定を用い、有意水準は0.05未満とした。<br>【結果】 得点率は、4月評価時でAグループはROM:58.2±20.8%、MMT:65.7±14.6、起き上がり動作補助/誘導:35.7±21.3%、移乗動作補助/誘導:58.3±27.9%、BグループはROM:56.9±17.5%、MMT:56.9±13.7、起き上がり動作補助/誘導:38.9±22.2%、移乗動作補助/誘導:55.6±22.4%であり全ての項目でグループ間有意差はみられなかった。5月評価時でAグループはROM:91±10.4%、MMT:92.6±4.6、起き上がり動作補助/誘導:75.4±12%、移乗動作補助/誘導:83.7±12.8%、BグループはROM:73.3±16%、MMT:64.2±19.4、起き上がり動作補助/誘導:42.9±26.8%、移乗動作補助/誘導:55.3±21.5%であり全ての項目においてグループ間有意差を認めた。<br>【考察】 Aグループでは臨床指導とOSCEからの問題点を基に行った臨床技術教育にて得点率の向上を認めたが、Bグループでは得点率の向上を認めなかった。Bグループも臨床指導が行われたが、Aグループの得点向上から、基本的な臨床能力を早期に向上させるには、その臨床技術に関する技術教育を行う必要性が示唆された。OSCEから得られる問題点を基に行う臨床技術教育は新人療法士の臨床能力の向上と均一化を進めることの一助になると考えられた。<br>【まとめ】 今回、入職した新人療法士の臨床能力を客観的に把握した。それを基に行う臨床技術教育は新人療法士の臨床能力を均一化させる教育となる可能性が示唆された。今後の展望として、5月OSCE後にBグループにも臨床技術教育を行い、教育介入時期について検討していきたい。
  • 藁科 弘晃, 小山 総市朗, 武田 和也, 後山 耕輔, 本谷 郁雄, 田辺 茂雄, 櫻井 宏明, 金田 嘉清, 永田 淳二, 神野 哲夫
    東海北陸理学療法学術大会誌 28回 116-116 2012年11月  
    【目的】 脳卒中片麻痺患者の上肢機能に対する治療法として反復性経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation以下rTMS)が注目されている。<br> 近年、慢性期の軽度片麻痺患者に対して、非損傷脳への低頻度rTMS(1Hz)によって、上肢運動機能の改善が報告された。さらに、慢性期の中等度片麻痺患者に対しては、損傷脳への高頻度rTMS(5Hz)と麻痺側上肢への治療的電気刺激(Therapeutic electrical stimulation以下TES)の併用によって上肢運動機能の改善が報告されていた。重度片麻痺患者にはRosewilliam Sらが麻痺側上肢へのTESによって上肢運動機能が改善したと報告があるものの、対象が発症6週間以内の亜急性期片麻痺患者であった。したがって、慢性期の重度片麻痺患者に対する上肢運動機能の改善は報告が少ない。そこで、本研究は慢性期の重度片麻痺患者に対して、非損傷脳への低頻度rTMSと麻痺側上肢へのTESを併用し、その効果を検討した。<br>【方法】 対象者は脳卒中発症後1年以上経過した慢性期の重度片麻痺患者8名(女性5名、男性3名、平均年齢57.8歳±11.6)。麻痺側手指機能はSIAS手指0が4名、1aが2名、1cが2名であった。rTMSには、マグスティム社製Magstim Super Rapidを用い8字コイルで刺激した。磁気刺激部位は非損傷側一次運動野手領域とした。運動誘発電位(motor evoked potential以下MEP)は非麻痺側第一背側骨間筋で記録した。安静時運動閾値は1/2以上50μVのMEPが誘発可能な強度とした。刺激強度は安静時運動閾値の90%、刺激頻度は1Hzとした。TESには、日本光電社製SEN-8203とSS-104Jを用い、手関節背屈筋群に長方形電極を貼付、周波数40Hz、パルス幅250μs、刺激周期500msON-500msOFFで刺激した。rTMSとTESは同期させた。1日午前と午後2回刺激し、10日間施行した。一週間の合計は4,840発行った。各刺激後上肢訓練を1時間実施した。介入前後にFugl-Meyer Assessment(以下FMA)を施行し比較した。統計学的解析は統計ソフトSPSSを用い、Willcoxonの符号付き順位検定をおこなった。有意水準は5%とした。本研究の実施手順および内容はヘルシンキ宣言に則り、当院倫理委員会の承諾を得た後に治療を開始した。また、治療は臨床神経生理学会2011を順守した。対象者には、医師により治療並びに評価の手順、意義、危険性、利益や不利益、プライバシー管理、研究目的、方法を説明の上、同意書にサインを頂いた。<br>【結果】 FMA上肢項目は、介入前中央値10点(最小値4点-最大値36点)、介入後中央値13点(最小値7点-最大値49点)であった。介入前後で優位な改善を認めた。<br>【考察】 慢性期の重度片麻痺患者に対して、非損傷脳への低頻度rTMSと麻痺側上肢へのTESの併用は上肢運動機能の改善に有効である事が示唆された。非損傷脳への低頻度rTMSは、非損傷脳を抑制し、過剰な脳梁間抑制が改善したと考える。さらに、麻痺側上肢へのTESは、損傷脳の興奮性を促通したと考える。<br>【まとめ】 非損傷脳への低頻度rTMSと麻痺側上肢へのTESの併用は慢性期の重度片麻痺患者に対して上肢機能の改善を認めた。今後は症例数を増やし損傷部位の大きさや部位、上肢運動機能による介入方法を検討する。
  • 高橋 秀明, 小山 総市朗, 洞田 大輔, 岡田 恵理子, 猪俣 容子, 加藤 万之輔, 田辺 茂雄
    日本透析医学会雑誌 45(Suppl.1) 778-778 2012年5月  
  • 小山 総市朗, 洞田 大輔, 岡田 恵理子, 高橋 秀明, 猪俣 容子, 加藤 万之輔, 田辺 茂雄
    日本透析医学会雑誌 45(Suppl.1) 778-778 2012年5月  
  • 洞田 大輔, 小山 総市朗
    理学療法学 39(Suppl.2) 0324-0324 2012年4月  
    【目的】 透析患者に対する運動療法介入については,身体機能の改善を認めるとの報告が多くなされており,最大酸素摂取量の増加や左室収縮機能の亢進が認められるとされている.一方で,運動療法介入による過負荷が原因の悪影響についての報告も散見され,心不全の増悪や脳卒中の発症の危険性が増大するとされている.また,新たな運動時間の確保が難しい事も報告される.週3回の透析時間以外での運動療法の介入では,運動継続の脱落率が高いとされている.そこで近年,過負荷予防と運動時間確保について利点のある,透析中の運動療法介入が注目されている.医師監視下による適切な運動負荷である点,運動時間確保の容易な点などによって,過去の報告で運動脱落率の低減が示されている.しかしながら,透析中の運動療法介入について,どのような患者が対象となるかという視点についての報告は非常に少ない.過去の学会において,我々は全身筋肉量の指標として透析対象者全般で評価可能な%クレアチニン産生速度(以下,% CGR)を用いて,運動療法開始前のどの生化学的データが透析中運動療法介入の効果を予測し得るか検討を行った.その結果,透析前の尿素窒素とカルシウムが透析中運動療法介入の効果を予測する指標となる可能性が示された(R2=0.84).しかし,変動の大きい% CGRという指標であるにも関わらず,運動療法開始前と開始後6ヵ月時点の値のみで検討したため,その患者の改善傾向を適切にとらえているものとは言えなかった.本研究においては,改善傾向を示す値として毎月計測した% CGR(12か月間)からその傾きを求めた.次に,その傾きを目的変数,生化学的データおよびその他の関連するデータを説明変数として重回帰分析を行い,予測に必要な説明変数について検討を行った.【方法】 対象者は透析中の運動療法が可能と医師が判断した7名であった.内訳は入院4名・外来3名,男性3名・女性4名,平均年齢 69.7 ± 8.4歳であった.介入頻度は週3回,運動時間は透析開始後 2時間以内とした. 場所は透析室内ベッド上とし,運動療法施行時は医師・看護師確認の下で実施した.内容は関節可動域訓練,背臥位で行える筋力増強訓練,下肢交互屈伸動作による持久力訓練,頚部および胸郭のリラクセーションとした.リスク管理として運動毎に血圧・脈拍・自覚的疲労度を測定した.まず透析前には,尿素窒素,クレアチニン,ナトリウム,カルシウム,リン,アルブミン,血清総蛋白を計測した.また,開始前と開始後12カ月分(毎月1回計測)の生化学的データから%CGRを算出し,線形回帰によってその傾きを求めた.最後に,目的変数を%CGRの傾き,説明変数を年齢,透析前の尿素窒素,クレアチニン,ナトリウム,カルシウム,リン,アルブミン,血清総蛋白をそれぞれ対数変換した値とし,ステップワイズ増減法による重回帰分析によって有効な変数を決定した.【説明と同意】 本研究の実施手順および内容はヘルシンキ宣言に則り,当院倫理委員会の承諾を得た後に行った.対象者には研究者が口頭および書面にて研究目的,方法,利益や不利益,プライバシー管理につき説明の上,同意を得た後,同意書に署名を頂いた.【結果】 運動療法介入時における低血圧などの有害事象は発生しなかった.重回帰分析を行った結果,%CGRの傾きは透析前のアルブミン,尿素窒素,リン,ナトリウム,年齢,カルシウムの6項目の値で予測することができた(R2=1.00). 標準偏回帰係数は,それぞれ1.058,1.214, 0.209,0.679,1.551,1.980であった.【考察】 本研究において,非常に高い決定係数の重回帰式を作成する事ができた.また,標準偏回帰係数の結果より,ナトリウムやカルシウムが%CGRの傾きに大きく影響していた.ナトリウムやカルシウムが大きな影響を及ぼすのは筋肉に関わる電解質の影響を示唆するものだと考える.【理学療法学研究としての意義】 現在,透析中の運動療法介入について,どのような患者が対象となるかという視点についての報告は非常に少ない.本研究の結果を用いることによって,透析前のデータのみで治療の成否が予測出来る.したがって,理学療法の介入対象または介入手法を検討する上で有用であり,理学療法学研究として意義が大きいものと考える.
  • 小山 総市朗, 武田 和也, 藁科 弘晃, 後山 耕輔, 金子 友亮, 早川 陽介, 水野 寿子, 本谷 郁雄, 田辺 茂雄, 櫻井 宏明, 金田 嘉清, 篠田 淳, 永田 淳二, 神野 哲夫
    理学療法学 39(Suppl.2) 0968-0968 2012年4月  
    【はじめに、目的】 近年,脳卒中患者様の運動麻痺に対する治療法に反復経頭蓋磁気刺激療法(Repetitive transcranial magnetic stimulation,以下rTMS)が用いられ始めている.過去の報告によると,軽度運動機能障害者の損傷脳への高頻度rTMSによって,上肢機能の改善が認められている.さらに現在,高頻度rTMSと治療的電気刺激(Therapeutic Electrical Stimulation,以下TES)の併用についての検討も始まっており,中等度運動機能障害者の上肢機能の改善が報告されている.しかしながら,現在までに行われているrTMSとTESの併用に関する研究は,電気刺激をトリガとして随意運動も行う練習法のみであるため,対象が随意運動可能な患者に限られている.そこで本研究では,随意運動の認められない重度運動機能障害者を対象に,rTMSと随意運動を行わないTESの併用を行い,その治療手法が運動機能と脳血流に及ぼす影響を検討した.【方法】 対象者は脳卒中右片麻痺患者(男性,70歳,発症後約 30か月)で,Stroke Impairment Assessment Set運動機能1-0-3-2-1,Brunnstrom Stage2-2-3,Modified Ashworth Scale3,Functional Independence Measure115点であり,感覚障害は軽度,骨関節疾患や代謝性疾患の併存は認められなかった.rTMSにはマグスティム社製Magstim Super Rapidを用い,健側の第一背側骨間筋の運動誘発電位が最小刺激強度で誘発可能な部位を,刺激周波数5Hzで8の字コイルを使用して刺激した.刺激強度は健側運動閾値の120%とした.TESには日本光電社製SEN-8203とSS-104Jを用い,周波数 40Hz,パルス幅 250us,刺激時間 500ms,刺激周期1Hzで手関節伸筋群を刺激した.刺激強度は手関節の伸展運動を誘発可能な強度とした.1セットはrTMS 8秒,TES 50秒,刺激前後1秒休息の計60秒とし,10セット10分間を1日2回,2週間施行した.運動機能の評価にはStroke Impairment Assessment Set運動機能,Brunnstrom Stage,Modified Ashworth Scaleを用い,治療前後で評価を行った.脳血流の評価にはPositron emission tomography (以下PET)を用いた.酸素15標識の二酸化炭素ガスを指標とし,steady-state法にて評価した.評価前の6時間は絶食,前日の運動を控えさせた.transmission scan後,酸素15標識の二酸化炭素ガス吸入後5分から10分までのデータを定量化した.画像データの統計学的画像解析には,中部療護センターのデータベースを使用したeasy Z-score Imaging Systemを用いた.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究の実施手順および内容はヘルシンキ宣言に則り,当院倫理委員会の承諾を得た後に治療を開始した.また,治療は臨床神経生理学会のガイドライン2007を順守した.対象者には,医師により治療並びに評価の手順,意義,危険性,利益や不利益,プライバシー管理,研究目的,方法を説明の上,同意書にサインを頂いた.【結果】 治療前後でStroke Impairment Assessment Set運動機能,Brunnstrom Stageに変化は認められなかった.一方で,Modified Ashworth Scaleは3から2に改善を認めた.脳血流(mg/min/100ml)は治療前,脳梁辺縁14.60/8.92(それぞれ右/左),中心前15.76/11.34,中心15.09/1.02,頭頂13.15/4.84,角回16.36/12.60,側頭17.07/14.87,後大脳15.76/15.55,脳梁周囲15.84/11.41,レンズ核18.26/14.57,視床13.31/7.59であった.治療後,脳梁辺縁17.43/10.10,中心前19.32/13.43,中心18.00/0.99,頭頂14.98/4.57,角回20.05/13.83,側頭20.19/16.76,後大脳18.78/18.29,脳梁周囲18.58/12.88,レンズ核21.55/17.87,視床17.34/17.87であった.【考察】 脳卒中重度運動障害者に対する,rTMSと随意運動を行わないTESの併用効果について,運動機能と脳血流を用いて評価した.運動機能評価ではModified Ashworth Scaleでのみ改善が認められた.この結果は,本手法が筋緊張の軽減には有効であったものの,運動機能の改善までには至らない可能性を示唆している.また,損傷部位の周辺領域において脳血流の改善が認められた.過去の報告においては,運動機能改善と脳血流には関係があると報告されており,損傷部周辺領域の脳機能改善が脳血管障害者の運動機能改善に重要とされている.本研究で得られた周辺領域の脳血流改善は,筋緊張軽減の神経生理学的作用機序のひとつと考えらえる.【理学療法学研究としての意義】 本研究によって,随意運動が困難な重度運動麻痺患者に対してもrTMSとTESの併用が有効である可能性が示唆された.この結果は,rTMSとTESを併用する手法の適用範囲を拡大する上で大きな意義があると考える.
  • 小山 総市朗, 本谷 郁雄, 春日井 孝典, 森部 枝里子, 林 宗一郎, 鈴木 亨
    岐阜県理学療法士会学術誌 (16) 12-13 2012年3月  
  • 洞田大輔, 小山総市朗, 岡田恵理子, 高橋秀明, 猪俣容子, 加藤万之輔, 田辺茂雄
    日本透析医学会雑誌 45(Supplement 1) 506-506 2012年  
  • 岡田恵理子, 小山総市朗, 洞田大輔, 高橋秀明, 猪俣容子, 加藤万之輔, 田辺茂雄
    日本透析医学会雑誌 45(Supplement 1) 506-506 2012年  
  • 小山総市朗, 酒井洋子, 武田和也, 加藤勇気, 青山貴文, 村山弥史, 森広大, 本谷郁雄, 田辺茂雄, 大塚圭, 渡辺章由, 櫻井宏明, 金田嘉清
    日本義肢装具学会誌 28 2012年  
  • 後山耕輔, 小山総市郎, 武田和也, 藁科宏晃, 金子友亮, 本谷郁雄, 田辺茂雄, 永田淳二, 神野哲夫
    日本病院学会プログラム・抄録 62nd 2012年  
  • 岡田 恵理子, 櫻井 宏明, 本谷 郁雄, 小山 総市朗, 渡辺 章由, 川瀬 勇一, 杉浦 徹, 大渕 草太, 渡 哲郎, 金田 嘉清
    医学教育 42(Suppl.) 128-128 2011年7月  
  • 本谷 郁雄, 櫻井 宏明, 小山 総市朗, 渡 哲郎, 岡田 恵理子, 渡辺 由章, 金田 嘉清, 河村 保男
    医学教育 42(Suppl.) 139-139 2011年7月  
  • 洞田 大輔, 小山 総市朗, 高橋 秀明, 岡田 恵理子, 杉戸 真, 山口 亜由美, 若林 宏旭, 加藤 万之輔, 櫻井 宏明
    理学療法学 38(Suppl.2) PI2-356 2011年4月  
    【目的】<BR> 近年,透析患者の運動療法介入による身体機能の改善効果を示す報告が多くみられる.しかし,一般的に血液透析患者では運動負荷による合併症リスク増大や新規運動時間の確保が問題となる.その為,透析中の運動が注目され,医師監視下による運動負荷リスク軽減や運動脱落率の低下が報告されている.ただ,従来報告の効果判定では機能改善をADLや運動パフォーマンスの指標から述べるものが多い.このような効果判定指標では臥床時間が延長した血液透析患者では評価する事さえ困難であると考える.その為,効果判定指標を再考し機能面だけでなく,生化学データ所見も併せて疾患特異的な効果判定指標を用いる必要もあると考える.一般的に血液透析患者の筋肉量や栄養指標の一つに%クレアチニン産生速度(以下,% CGR)がある.本研究では,血液透析患者に対する透析中の運動療法効果判定の一つとして% CGRを用いて,運動療法開始から2カ月経過した血液透析患者の運動療法の効果判定を検討し,若干の知見を得たので報告する.<BR><BR>【方法】<BR> 対象者は医師が透析中運動療法可能とした16名より,%CGRに影響を及ぼす可能性のある透析状態,栄養状態が不良で入院又は体調不良をきたし継続困難であった7名を除外した計9名である.内訳は入院6名,外来3名,男性4名・女性5名である.平均年齢72.9±10.1歳,平均透析期間47±73か月であった.介入頻度は週3回,運動時間は透析開始後2時間以内とした.運動療法施行時は医師・看護師確認の下,実施した.場所は透析室内でベッド上で行った.内容は関節可動域訓練,背臥位で行える筋力増強訓練,下肢交互屈伸動作による持久力訓練,頚部および胸郭のリラクセーションとした.各運動毎に血圧・脈拍・自覚的疲労度を測定した.評価項目はFIMと血液生化学データから%CGRを算出した.評価時期は透析中運動療法開始前と開始後2カ月のデータを抽出した.なお,%CGRは同年代,同性の非糖尿病透析患者の%CGRの百分率である.運動可能頻度は各個人の透析回数中に運動試行回数を百分率で表した.統計学的分析には対応のあるt検定を用いて有意水準5%未満とした.<BR><BR>【説明と同意】<BR> 本研究の実施手順および内容はヘルシンキ宣言に則り,当院倫理委員会の承諾を得た後に行った.対象者には研究者が口頭および書面にて研究目的,方法,利益や不利益,プライバシー管理につき説明の上,同意を得た後,同意書に署名を頂いた.<BR><BR>【結果】<BR> 運動療法介入前5ヵ月間のFIM運動項目は平均47.4±22.1点,FIM認知項目は平均23.2±7.3点,%CGRは83.3±41.8%,運動療法介入2カ月にてFIM運動項目は平均47.4±22.1点,FIM認知項目は平均23.2±7.3点,%CGRは90.9±41.4%,運動可能頻度は初月78%2か月後93%であった.リハビリ試行中に体調不良および事故発生は0件であった.運動療法介入前と介入後2ヵ月の%CGRでは有意差を認めた(p=0.05).<BR><BR>【考察】<BR> 血液透析患者に対して,透析中運動療法を施行しADL改善は困難であったが%CGRにて改善を認めた.ADL改善困難な原因は透析中訓練のため,課題特異的でない事と, リスク管理上運動負荷も低い為であると考える.また,FIMは疾患特異的ではなく,寝たきり患者様では効果判定指標として検出し辛いのではないかと考える.%CGR改善に関しては訓練導入前より活動時間が増加し,透析効率の改善も考えられた.さらに, 明らかな訓練頻度の向上により訓練介入にて刺激量が増大しセルフエフィカシーの改善につながったと考えている.まだ,運動介入から2カ月と短期間での評価結果だが,現時点でFIMでは検出不可能であった運動療法介入効果を%CGRを代表とする生化学的データにて示す事が出来た.このような結果から血液透析患者に対して疾患特異的尺度の開発が必要であると同時に,従来の効果判定指標では示せない運動介入による効果判定を行う必要があると考える.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 血液透析患者では日常の臨床で運動療法による改善効果が患者の内的情報から聞かれる事は大変多い.しかし,ADLのような疾患特異的では無い評価尺度や,運動パフォーマンス変化を必要とする尺度でのみでは客観的な運動効果を示す事は難事である.本研究では疾患特異的な効果判定尺度を用いて介入効果を検討した.本研究のような視点からの運動療法介入効果を示す事も今後の理学療法において重要と演者らは考え,本研究は臨床的にも意義のあるものと考える.
  • 杉戸 真, 河野 光伸, 進藤 直紀, 手塚 裕美, 小山 総市朗, 本谷 郁雄, 金田 嘉清
    理学療法学 38(Suppl.2) OF1-116 2011年4月  
    【目的】<BR> 近年,高齢化社会の到来により理学療法士の需要が急増している.これに伴い,2つの問題が生じている.ひとつは理学療法士の低年齢化,もうひとつは療法士養成校間の格差である.養成校の増加に伴い,比較的経験年数の多い療法士が教員として従事している一方で,臨床現場では経験年数の少ない者が増加している.また,養成校の多様な教育課程により,学生の知識・技術・態度の格差を生む原因となっている.この2つの問題は,療法士における治療内容の低下をもたらす大きな問題になっている.そのため,医師のような資格取得後の濃厚な研修制度がない療法士教育では,実践力のある療法士を育成するために,臨床実習が重要となる.療法士養成における臨床実習の取り組みについては多数報告されているが,その反面,学生の生活パターンや性格特性の関係を示した報告は少ないのが現状である.経験年数の少ない臨床実習指導者が,多様な性格の学生を満足に指導できているかは不透明な部分が多い.学生の中には,臨床実習に対するストレスが原因でリタイアしてしまう者もいるのが実状である.そこで今回,臨床実習中の学生の睡眠時間とストレス度,性格特性との関係を検討したので報告する.<BR><BR>【方法】<BR> 対象は,某大学リハビリテーション学科最終学年在学中の26名(男性15名,女性11名)とした.平均年齢は21.2±0.4歳であった.対象学生に対し,新版東大式エゴグラムII(TEGII:Tokyo University Egogram New Ver.II)と臨床実習直前,および実習中におけるストレス度と主観的平均睡眠時間をアンケートにて回答させた.アンケート結果をもとに,臨床実習直前と実習中の主観的平均睡眠時間の差(Paired t-test),臨床実習中の主観的平均睡眠時間と臨床実習に対するストレス度の相関(Spearmanの順位相関),睡眠時間とTEGIIにおける自我状態を示す5尺度の得点との関係(Mann-Whitney U-test)について検討した.<BR><BR>【説明と同意】<BR> 本調査は,藤田保健衛生大学医学部倫理委員会の承認を得た上で実施した.対象者には,本研究の目的と倫理的配慮を口頭と紙面にて十分に説明した.その上で同意を得た者について署名をいただき,アンケートを実施した.<BR><BR>【結果】<BR> 臨床実習開始前の主観的平均睡眠時間の平均は6.6±1.2時間,実習中は4.1±0.8時間であり,有意差を認めた(p<0.01).主観的平均睡眠時間と臨床実習に対するストレスとの間の相関はrs = -0.50と高かった.臨床実習中の主観的平均睡眠時間が平均より長かった学生(11名)と短かった学生(15名)に分けて,TEGIIによる自我状態を示す5つの尺度を比較すると,睡眠時間が短かった学生群はTEGIIにおけるFC(自由な子ども)得点が有意に低かった(p<0.05).<BR><BR>【考察】<BR> 臨床実習は学生にとってはじめての臨床経験であるとともに,自宅での課題も多く,睡眠時間を削って課題に取り組まざるをえない状況が蔓延しているとの報告がある.また,近年の学生の特徴として,主体性の乏しさやストレスに対するコントロールが苦手だと指摘している報告もある.このような現状の中,臨床実習指導者には,単に課題を与えるだけでなく,学生の生活パターンやストレスにも注意を向けた指導力が求められるようになってきた.しかし,本調査の結果,臨床実習中は睡眠時間が減少すること,睡眠時間とストレス度の相関が高かったことは,臨床実習指導者による柔軟な指導が行えていない可能性があることを示唆していると考えられた.一方,睡眠時間が短い学生は,TEGIIにおけるFC得点が低かった.FCの性格特性は,積極的で明朗快活な特徴があるとされることから,FC傾向の高い学生は臨床実習指導者とのコミュニケーションが密になり,課題に対する理解力が増すことで,睡眠時間を確保しやすくなるのかもしれない.この点から,臨床実習指導者は臨床場面で積極的になれない学生が睡眠時間を削って自宅での課題に取り組んでいる可能性が高いことを認識し,柔軟に課題を提供していく必要があると考えられる.また,臨床実習指導者はFC傾向の低い学生に対しても積極性を促し,達成感を得られるように,柔軟性を持った指導法を学ぶことが重要であると考えられた.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 療法士の質の向上は急務であり,実践力のある新卒者を育成する事は,養成校だけでなく臨床実習指導者にとっても責務と思われる.臨床実習指導者が多様な性格特性のある学生に対し,どのような性格特性の学生であるかに関わらず,柔軟性を持った指導をすることで学生にとって有意義な臨床実習を提供できるものと考えられる.
  • 本谷 郁雄, 櫻井 宏明, 小山 総市朗, 田中 元規, 星野 友徳, 渡辺 章由, 金田 嘉清, 河村 保男
    医学教育 41(Suppl.) 158-158 2010年7月  
  • 本谷 郁雄, 櫻井 宏明, 小山 総市朗, 田中 元規, 星野 友徳, 渡辺 章由, 金田 嘉清, 河村 保男
    東海北陸理学療法学術大会誌 25回 106-106 2009年10月  
  • 本谷 郁雄, 櫻井 宏明, 小山 総市朗, 田中 元規, 星野 友徳, 渡辺 章由, 金田 嘉清, 河村 保男
    東海北陸理学療法学術大会誌 25 78-78 2009年  
    【目的】 過去の報告ではADLと難易度についての報告はみられているが、FIM運動項目の中での介助量研究報告は少ない。ADL訓練を行う際の着眼点をみつけることを目的とし今回の研究を行った。 【対象】 研究期間は2009年4月から2009年6月の間に当院に入院していた脳血管障害患者55名(男性:19名 女性:36名)とした。疾患内訳は脳梗塞 41名 脳出血 9名 その他 5名であった。平均年齢は74.9±13.1歳であった。 【方法】 今回、FIM運動項目を評価する際に含まれる内容をさらにFIMに準じて「自立」から「全介助」までの7段階評価(食事では「準備」「口まで運ぶ」「咀嚼、嚥下」「食べ残しを集める」の4項目でFIMは採点を行う。今回はこの4項目それぞれFIMに準じて7段階評価した)を行った。そして、「自立」「修正自立」を自立群、「監視」を監視群、「最小介助」から「全介助」までを介助群とし、自立群、監視群の割合を調査した。 【結果】 食事は「摂食、嚥下」「口に運ぶ」の自立度が高いが、「準備」の自立度が低かった。移乗動作は「立ち上がり」の自立度は高いが、「方向転換」の自立度が低かった。更衣動作(上衣、下衣)は「片腕を通す」など開始動作の自立度が高く、開始動作ができないと残りの項目は自立度が低かった。トイレ動作は「拭く」ことの自立度は高いが、「服の上げ下げ」の自立度は低かった。清拭は遠位にいくほど自立度が低下した。 【考察】 今回の結果では食事の自立度が最も高かった。しかし、食事の項目で「口に運ぶ」ことが出来ない場合は、他のFIM項目の自立度も低下していた。 更衣はFIM3点と4点では「片腕を通す」など開始動作の自立度が変わってくる。これは開始動作がその後の動作に影響したものだと考える。移乗動作はFIM3点と4点では「立ち上がり」の自立度が変わってくる。4点になるかどうかは「立ち上がり」の影響が考えられる。今回の結果から、FIM3点と4点ではポイントとなる項目があった。また、食事で「口に運ぶ」ことが行えないとADLに影響を及ぼすことが示唆された。

書籍等出版物

 6

主要な講演・口頭発表等

 126

担当経験のある科目(授業)

 12

所属学協会

 1

共同研究・競争的資金等の研究課題

 26

社会貢献活動

 4

その他

 2
  • 感情測定 マーカレス動作解析
  • 理学療法学(特に運動機能障害に対する理学療法、学術業績は論文欄参照) 生体医工学(特に、三次元動作解析、表面筋電図、学術業績は論文欄参照) 神経生理学的評価(特に、電気生理学的検査(TMS、H波)、学術業績は、論文欄参照)