小山総市朗, 田辺茂雄, 武田和也, 櫻井宏明, 金田嘉清
理学療法学 42(2) 148-149 2015年4月20日
脊髄相反抑制機構の破綻は,脳卒中片麻痺の痙縮を引き起こす原因のひとつとされている。この破綻を改善させる手法として,痙縮筋の拮抗筋に対する経皮的電気刺激が用いられている。しかし,過去の報告の刺激周波数は一定でなく,最適な刺激条件は明らかでない。本研究では,脳卒中患者を対象として刺激周波数の違いが脊髄相反抑制機構改善に与える影響を検討した。実験は20名の脳卒中患者を3群(刺激周波数50,100,200Hz)に分け,麻痺側深腓骨神経への30分の刺激前後で脊髄相反抑制量変化を計測した。評価項目には,相反性Ia抑制量とIaシナプス前抑制量を用いた。結果,50Hz,100Hzでは両指標に変化は認めず,200Hzでは相反性Ia抑制に改善傾向,Iaシナプス前抑制に有意な改善を認めた。この結果は,200Hzの刺激による深腓骨神経からヒラメ筋Ia線維終末へのシナプス伝達効率改善を示唆するものであり,痙縮患者に経皮的電気刺激を用いる際には刺激周波数を考慮する必要があると考えられる。