三浦喜直, 藤枝信次, 廣瀬和之
Journal of the Surface Science Spociety of Japan 15(9) 591-597 1994年
Al/Si界面は,Siデバイスのコンタクトに用いられる工学的に重要な界面であるが, ショットキー障壁の形成機構など基礎的な理解は十分ではない。著者らは, Si基板上にエピタキシャルおよび非エピタキシャルのAl薄膜を, 低温MBEを用いて形成し,両者のショットキー障壁高さ (SBH) を比較した。その結果, Si(111), Si(100)どちらの基板を用いた場合でも, エピタキシャル界面でのフェルミ準位のピニング位置が, 非エピタキシャル界面のそれに比べて高くなることが明らかとなった。このピニング位置の違いは, エピタキシャル界面のほうがエネルギー的に安定であることを示唆しており, 熱処理によるSBHの変化の様子においても, この予想を支持する結果が得られた。本解説では, これまでのAl/Siショットキー界面の研究を概観した後, AlとSiの結晶方位関係とSBHとの相関に関する著者らの研究について紹介する。